サラリーマン出世太閤記 課長一番槍

『サラリーマン出世太閤記 課長一番槍』は、1959年、東宝系で公開された日本映画です。シリーズ第4作目にあたる本作は、それまでの作品とは異なりカラー映画として制作されました。同時上映作品は『野獣死すべし』でした。

本作の主人公は、宣伝係長に昇進した木下秀吉です。彼は、自社の自動車「アトラス」の広告塔建設という大役を任されます。しかし、彼の挑戦は決して平坦なものではありませんでした。

まず、計画を進める中で、警察による取り調べを受けるというハプニングに見舞われます。さらに、銀行頭取の娘との縁談は破談となり、計画は暗礁に乗り上げるかに見えました。追い打ちをかけるように、悪徳新聞社「万一タイムズ」からの執拗な嫌がらせにも苦しめられます。

これらの困難の中、木下秀吉は持ち前の明るさと粘り強さで幾多の試練を乗り越えていきます。そして、物語のクライマックスでは、「アトラス」を使ったレースに優勝するという劇的な展開が待ち受けていました。見事な勝利によって、彼は念願の販売課長に昇進することになります。

本作には、興味深いキャスティングも見られます。後に『社長シリーズ』で取引先の会長役を演じる左卜全氏が、本作では「万一タイムズ」社長という悪役を演じています。これは、左卜全氏のキャリアの中でも珍しい役どころと言えるでしょう。

また、映画制作の裏側にも注目すべき点があります。美術担当の井上泰幸氏は、ヘリコプターがビルの屋上に車を下ろすシーンのミニチュア撮影で、模型制作のサイズがバラバラになってしまったエピソードを語っています。このミスは、円谷氏の激しい怒りを招いたそうですが、ワイドレンズの使用によって、遠近感を強調することで、見事にこの困難を乗り越えたという逸話も残っています。

出演者は、主人公の木下秀吉役に小林桂樹氏、ヒロインの山中エイ子役に団令子氏、そして山中為助役に沢村いき雄氏など、豪華な顔ぶれが揃っています。その他、加東大介氏、東郷晴子氏、有島一郎氏、藤木悠氏、宇野晃司氏、山田彰氏、丘寵児氏、伊藤久哉氏、淡路恵子氏、水の也清美氏、土屋詩朗氏、三田照子氏、柳川慶子氏、野口ふみえ氏、江原達怡氏、千葉信男氏などが脇を固めています。

スタッフ陣も、製作に安達英三郎氏、脚本に笠原良三氏、監督に筧正典氏、撮影に遠藤精一氏など、映画界を代表する名だたるスタッフが名を連ねています。

『サラリーマン出世太閤記 課長一番槍』は、困難を乗り越えていく主人公の姿を通して、爽快感と感動を与えてくれる作品です。カラー映画となったことで、より鮮やかな映像美も楽しめます。

参考文献には、「演技者 小林桂樹の全仕事」（ワイズ出版）、東宝ゴジラ会『特撮 円谷組 ゴジラと東宝特撮にかけた青春』（洋泉社）、別冊映画秘宝編集部 編『ゴジラとともに 東宝特撮VIPインタビュー集』（洋泉社）などが挙げられています。また、『ゴー!ゴー!若大将』のレースシーンは、本作のリメイクであるとされています。

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