サンタフェ

サンタ・フェ（Santa Fe、Santa Fé）

「サンタ・フェ」という言葉は、スペイン語およびポルトガル語において「聖なる信仰」を意味します。この語は、特に殉教者として知られる聖フィデスを指す固有名詞としても用いられます。聖フィデスはフランスの聖人ですが、その信仰はフランス国内にとどまらず、イギリス、スペイン、ポルトガルといった国々にも広がりを見せました。この信仰の波及が、「サンタ・フェ」という名称が後に世界各地、特にアメリカ大陸を中心とした多くの地名や、様々な事物の名称として採用される重要な背景となりました。

地名

世界には数多くの「サンタ・フェ」という名の地名が存在します。最も広く知られているのは、アメリカ合衆国ニューメキシコ州の州都であるサンタフェです。この都市は単に「サンタフェ」と呼ばれた場合に指されることが多く、同州内にはサンタフェ郡も存在します。また、テキサス州にも同名の都市があります。

南米では、アルゼンチンにサンタフェ州があり、その州都もサンタフェと呼ばれています。エクアドルには、貴重な生態系で知られるガラパゴス諸島の一角をなすサンタ・フェ島があります。コロンビアの首都ボゴタは、1991年から2000年にかけてサンタフェ・デ・ボゴタと呼ばれており、現在でもボゴタを構成する20の行政区の一つがサンタフェ区となっています。

イベリア半島では、スペインのアンダルシア州グラナダ県と、ナバーラ州にそれぞれ「サンタ・フェ」という名の自治体が存在します。中央アメリカのパナマにも、ベラグアス県にサンタ・フェ市があります。

アジアのフィリピン共和国には複数の「サンタフェ」という名の自治体が存在し、ルソン島のヌエヴァ・ヴィスカヤ州、中部ビサヤ地方のセブ州（バンタヤン島）、東ビサヤ地方のレイテ州（レイテ島）、ミマロパ地方のロンブロン州（ロンブロン島）などに点在しています。ブラジル国内にも、パラナ州、トカンティンス州、サンパウロ州、ミナスジェライス州、ゴイアス州など、各地に「サンタフェ」と名の付く自治体があります。さらに、ホンジュラスにはコロン県とオコテペケ県に同名の自治体があり、メキシコ国内には11ヶ所もの地名にこの名が見られ、特にメキシコシティ西部の近代的なビジネス地区は有名です。

軍艦

「サンタ・フェ」は軍艦の名前としても歴史に名を刻んでいます。アメリカ海軍では、第二次世界大戦中に活躍したクリーブランド級軽巡洋艦の6番艦（CL-60）や、現在も運用されているロサンゼルス級原子力潜水艦の52番艦（SSN-763）がこの名を受け継いでいます。アルゼンチン海軍も複数の潜水艦に「サンタフェ」の名を冠しており、同国初の潜水艦であった初代サンタフェ（S-1）、アメリカから供与されたバラオ級潜水艦のサンタフェ（S-11、S-21、特にS-21はフォークランド紛争で活躍するも損傷放棄）、そして計画されたものの建造に至らなかったサンタクルス級潜水艦の一艦（S-43）にもこの名が予定されていました。

交通・乗り物

交通や輸送の分野でも「サンタ・フェ」の名は登場します。19世紀のアメリカ西部開拓において、ミズーリ州からニューメキシコ準州（現在のニューメキシコ州）のサンタフェに至る重要な交易ルートはサンタフェ・トレイルと呼ばれました。このルートに沿って路線を敷設した鉄道会社はアッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道、通称「サンタフェ鉄道」として知られ、現在ではアメリカの主要鉄道会社の一つであるBNSF鉄道の一部となっています。現代の乗り物としては、韓国の自動車メーカー現代自動車が製造する中型クロスオーバーSUVが「ヒュンダイ・サンタフェ」として世界中で販売されています。また、蒸気機関車の車軸配置を示す名称の一つに「サンタフェ」（車軸配置2-10-2）が用いられることもあります。

その他

上記の分野以外にも、「サンタ・フェ」という名称は多様な事物に用いられています。コロンビアの首都ボゴタを本拠地とするサッカークラブ、インデペンディエンテ・サンタフェはその愛称として知られています。日本では、1991年に発表され大きな話題を呼んだ宮沢りえのヌード写真集のタイトルが「Santa Fe」でした。音楽分野では、バンドCzecho No Republicが2015年にリリースしたアルバムのタイトルも「Santa Fe」です。アパレル分野では、日本の洋服ブランドにSANTAFEというものがあり、かつて存在したアダルトゲームブランドにもサンタ・フェという名称が使われていました。

関連項目

フランス語圏において、「サンタ・フェ」（聖なる信仰、聖フィデス）に対応する名称としては、「サント＝フォワ（Sainte-Foy）」が地名などに見られます。

もう一度検索