サンタ・マリア・グロリオーザ・デイ・フラーリ聖堂

サンタ・マリア・グロリオーザ・デイ・フラーリ聖堂（Basilica di Santa Maria Gloriosa dei Frari）は、ヴェネツィアのサン・ポーロ地区に位置する、カトリック教会のバシリカです。地元ではフラーリという愛称で親しまれています。この聖堂は「聖母の被昇天」に捧げられており、その壮大さと歴史的、芸術的な価値から、多くの観光客や信者たちを魅了しています。

歴史

1250年、フランチェスコ会が教会の建設のために土地を譲り受けたことが、フラーリ聖堂の始まりです。最初の教会は1338年に完成しましたが、その後、より大きな後継の教会が約1世紀をかけて建設されました。現在の聖堂は、その拡張された姿です。鐘楼（カンパニーレ）は、1396年に完成し、サン・マルコ寺院に次いでヴェネツィアで2番目に高い建造物となっています。この鐘楼は、聖堂の景観をさらに印象的なものにしています。

建築様式と特徴

フラーリ聖堂は、イタリアのゴシック様式で建てられており、外観は煉瓦造りで比較的簡素ですが、内部は壮麗な装飾と数々の芸術作品で満たされています。多くのヴェネツィアの教会と同様に、外観は控えめですが、内部には現存する唯一の内陣仕切りが残っています。この仕切りは、教会の歴史的価値を高める重要な要素となっています。

芸術作品

フラーリ聖堂は、数々の著名な芸術家たちの作品を所蔵しています。以下は、その一部です。

ジョヴァンニ・ベリーニ: 聖ニコラス、ペテロ、マルコ、ベネディクトゥスとともにいる聖母子。
バルトロメオ・ボンの工房: 西入口にある聖母像と聖フランチェスコ像。
アントニオ・ブレーニョとパオロ・ブレーニョ: ドージェ、フランチェスコ・フォスカリの墓碑。ニッコロ・ディ・ジョヴァンニ・フィオレンティーノの作品とも言われています。
ロレンツォ・ブレーニョ: 保管所扉上部の、ベネデット・ペーザロの墓碑、西壁にあるアルヴィーゼ・パスカリアーノの墓碑
ジローラモ・カンパーニャ: パドヴァのアントニオ像と聖アニェーゼ像。
マルコ・コッツィ
ドナテッロ: 洗礼者ヨハネ像。ヴェネツィアで最初にドナテッロが仕上げた作品とされています。
チュッリオ・ロンバルド: ピエトロ・ベルナルドの墓碑。
アントニオ・リッツォ: ドージェ、ニッコロ・トロンの墓碑
ヤーコポ・サンソヴィーノ: 洗礼者ヨハネ像。
ティツィアーノ: 聖母被昇天（ヴェネツィアで最も大きな祭壇画）とペーザロ家の祭壇画（聖会話とペーザロ家の寄進者たち）。
パオロ・ヴェネツィアーノ
アレッサンドロ・ヴィットーリア
アルヴィーゼ・ヴィヴァリーニ: 聖アンブロジウスと聖人たち。
バルトロメオ・ヴィヴァリーニ: 王座の聖マルコ、聖人たちと聖母子。

これらの作品は、聖堂の壁や祭壇を飾り、その歴史と芸術的価値を物語っています。

埋葬されている人々

フラーリ聖堂は、多くの著名な人物の埋葬地でもあります。以下はその一部です。

フランチェスコ・バルバロ: 人文主義者。
ピエトロ・ベルナルド: 議員。
アントニオ・カノーヴァ: 彫刻家（心臓のみがフラーリに埋葬されています）。
フェデリコ・コルネル
フランチェスコ・ダンドロ: ドージェ。
フランチェスコ・フォスカリ: ドージェ。
ヤコポ・マルチェッロ
クラウディオ・モンテヴェルディ: 17世紀の作曲家。
ベアト・パシフィコ: 現在の教会の創設者。
アルヴィーゼ・パスカリーノ: ヴェネツィアの行政長官。
ベネデット・ペーザロ: 将軍。
ジョヴァンニ・ペーザロ
ヤコポ・ペーザロ: 司教。
パオロ・サヴェッリ: コンドッティエーレ。
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ: 画家。
メルキオッレ・トレヴィザン: 将軍。
ニッコロ・トロン

これらの著名な人々が、この聖堂に眠っています。フラーリ聖堂は、その歴史と文化、芸術的な価値において、ヴェネツィアを代表する重要な場所の一つです。訪れる人々は、その壮大さと美しさに圧倒され、歴史の重みを感じることでしょう。

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