サール5型コルベット

エイラート級コルベット (Saar 5 class)

エイラート級コルベットは、イスラエル海軍に属する艦艇であり、その形式名はサール5型と呼ばれています。この艦級は、先進的なデザインと技術を組み合わせており、現代の海上戦闘に対応した重要な役割を果たしています。建造単価は約2億6000万ドルと言われています。

来歴

1960年代初頭、イスラエル海軍は従来型の駆逐艦や護衛艦が持つ艦砲火力の不足を補うため、ミサイル艇の開発を進め始めました。まず西ドイツ製のヤグアル級魚雷艇を基にしたサール級（サールII/III型）が導入され、その後、紅海での作戦を考慮して大型化したレシェフ級（サールIV型）が配備されました。1973年には在来型艦艇が全て廃止され、ミサイル艇隊が主要な水上戦力として活躍しました。

このミサイル艇隊は、数的劣勢にもかかわらず、ラタキア沖海戦やダミエッタ沖海戦での勝利に寄与し、戦争の結果に大きな影響を与えました。その後もイスラエル海軍はミサイル艇の増強を進め、1980年代には次世代艦艇の開発に着手しました。

新型艦艇は、海上戦闘の新しいテクノロジーに対応できるよう1,200トン級まで大型化し、対艦ミサイル防御用の艦対空ミサイルを搭載し、ヘリコプターの運用も考慮されました。このプロジェクトは在来型艦と比較して、排水量が約3倍に増加し、戦術思想の転換を意味するものでした。最終的に、1988年の春には建造が決定され、1989年2月に発注、1992年から建造が開始されました。

設計

エイラート級の設計は、ジョン・J・マクマレン・アソシエイツ社をはじめ、イスラエル造船所及びインガルス造船所によって行われました。最も特徴的なのは、優れたステルス性を実現するための設計です。レーダー反射断面積を最小化するために、艦体はV字型に形状を整え、上部構造は逆V字型に tapered されています。

艦橋のデザインもシンプルで、平面を特定の角度で組み合わせた形を取っています。艦体表面には電波吸収材（RAM）が塗布されており、赤外線放射を抑えるために冷却システムも導入されています。また、静粛性を追求するため、水中放射雑音を低減させる装置も装備されています。艦体は鋼製で、上部構造はアルミニウム合金から成っています。

機関と装備

本級の主機関は、2基のV型12気筒 MTU 12V1163 TB82ディーゼルエンジンと、1基のLM2500ガスタービンエンジンを搭載し、CODOG方式により推進されます。この設計により高い機動性と効率的な運用が可能です。また、電源にはシーメンス-MTU製のディーゼルエンジンを用いた発電機を4基配置しています。

エイラート級は「ポケット巡洋艦」とも称されるように、コンパクトながら強力な装備を備えています。具体的には、76mmの主砲ではなく、20mm CIWSを搭載する形に変更され、艦対艦ミサイルはハープーンのみを搭載するように調整されました。センサーも充実しており、対空捜索用のレーダーや低空警戒用のレーダーが配置され、潜水艦対策としてのソナーも装備されています。

2014年以降、最新の技術に更新するための改修も行われ、EL/M-2248 MF-STARレーダーやバラク-8艦対空ミサイルへの換装が進められました。これにより、現代の海戦における対応力が一層高まりました。

運用史

エイラート級は最初8隻の建造が計画されましたが、最終的には3隻の建造にとどまりました。また、後の発展型も検討されましたが、予算の調整が必要となり、最終的には計画が中止されました。具体的な運用には、2006年のレバノン戦争中にヒズボラの攻撃を受けた「ハニト」があり、この時には4名の海軍兵士が命を落としましたが、艦は迅速に復帰しました。

本級は海軍の戦力として非常に重要な位置を占めており、今後もおそらく様々な役割を果たすことが期待されています。

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