ザクセン福音ルター派州教会

ザクセン福音ルター派州教会

ザクセン福音ルター派州教会（Evangelisch-Lutherische Landeskirche Sachsens, EvLKS）は、ドイツ福音主義教会（EKD）に加盟する、ドイツの20の福音主義州教会の一つです。本部をドレスデンに置き、公法上の社団として活動しています。

歴史

1539年、ザクセン公国に宗教改革が導入され、1580年には教会法規が制定されました。領邦君主が教会の首長を務め、1697年に選帝侯がカトリックに改宗した際には、福音主義信徒による枢密参事会に教会監督権限が委譲されました。

1815年のウィーン会議で領土の一部がプロイセンに割譲された後も、残された地域を管轄する教会として存続。1835年には教会組織が国家の行政機関に倣って変更され、1874年には教会行政が国家から分離しました。1922年には教憲が改定され、1926年にザクセン福音ルター派州教会と改称。州教会指導教職者の職名が州教会監督となりました。

ナチス時代には、国家社会主義の影響を受けましたが、告白教会が結成され、教会闘争が展開されました。第二次世界大戦後、ドイツ福音主義教会（EKD）とドイツ合同福音ルター派教会（VELKD）に加盟。1950年に新たな教憲を制定し、2008年に改正されました。

現状

信徒数の減少が予想され、教会構造にも影響が出ています。しかし、礼拝を維持するために、無報酬の説教担当者や引退した牧師の協力が不可欠となっています。2016年以降、教会共同体の同意があれば、同性婚の教会結婚式と祝福が認められるようになりました。

信仰告白

古代教会の3つの信仰告白（使徒信条、ニケア信条、アタナシウス信条）に加え、ルター派の信仰告白（アウクスブルク信仰告白、弁証、シュマルカルデン条項、ルターの大小教理問答、和協信条）を認めています。また、バルメン宣言を重要な文書と見なしています。

神学的保守性

神学的保守派や敬虔主義者の影響が強く、同性愛をめぐる問題で対立が見られます。2001年には同性愛者牧師の牧師館入居を認めない決議が採択され、2012年にもその方針が継続されました。2015年には、神学的保守派に支持されたカルステン・レンツィングが州教会監督に選出され、同性愛に関する教会の方針が維持されることになりました。

組織

最高の地位にあるのは州教会監督であり、州教会総会で選出されます。州教会総会は教会の最高議決機関であり、代議員は各教会から選出されます。州教会事務局が最高の教会行政機関としてドレスデンに置かれ、事務局長がその長を務めます。教会組織は、教会共同体、教会地区、教区で構成されています。

礼拝

ザクセン福音ルター派州教会の礼拝式文は、ラテン語ミサに由来する様式です。聖餐礼拝式文では、鐘楼で鐘を鳴らし、オルガン前奏から始まり、司式者と会衆が祈り、讃美歌を歌い、聖書朗読と説教が行われます。聖餐式では、パンと葡萄酒が配られます。

讃美歌集

長年にわたり、様々な讃美歌集が使用されてきました。主なものとして、1883年に導入された「ザクセン王国福音ルター派州教会讃美歌集」、1950年と1975年に導入された「福音教会讃美歌（EKG）」、1994年頃に導入された「福音讃美歌（EG）」があります。

ザクセン福音ルター派州教会は、歴史の中で様々な困難を経験しながらも、信仰を告白し、礼拝を大切に守り続けています。現代社会の課題に直面しながらも、福音を宣べ伝え、地域社会に貢献する教会としての使命を果たそうとしています。

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