ザ・ステイプル・シンガーズ

ザ・ステイプル・シンガーズ

ザ・ステイプル・シンガーズは、ローバック "ポップス" ステイプルズが自身の子供たちと1940年代後半に結成した、アメリカのゴスペル・ソウルグループです。当初はゴスペル中心の音楽性でしたが、時代とともに様々な音楽的要素を取り入れ、幅広い層に支持されるようになりました。

結成と初期

ポップス・ステイプルズは、1936年にシカゴへ移住後、トランペット・ジュビリーズというグループで教会音楽を演奏していました。1948年頃、娘のクレオサ、メイヴィス、息子のパーヴィスと共にステイプル・シンガーズを結成し、中西部の教会を中心に活動を始めます。

1953年にロイヤル・レコードから「These They Are」でレコードデビュー。翌年にはユナイテッドから「Sit Down Servant」をリリースしました。1956年にはヴィージェイ・レコードと契約し、「Uncloudy Day」や「Will The Circle Be Broken」といった、彼らの代表曲となる名作を次々と発表しました。

ゴスペルから多様な音楽性へ

1962年までヴィージェイに在籍した後、リバーサイド、エピックとレコード会社を移籍。この頃から、ゴスペル音楽に留まらず、フォークやポップス、ロックの要素を積極的に取り入れ、音楽性を広げていきました。公民権運動が盛り上がりを見せる中、彼らの音楽は社会的なメッセージを強く帯びるようになります。エピック時代には、バッファロー・スプリングフィールドのカバー「フォー・ホワット・イッツ・ワース」がヒットしました。

スタックス時代と世界的成功

1968年、ステイプル・シンガーズはスタックス・レコードと契約。1970年にパーヴィスが脱退しますが、代わりにステイプル姉妹の1人であるイヴォンヌが加入し、グループは活動を継続しました。スタックス時代には、「Respect Yourself」（全米12位）、「アイル・テイク・ユー・ゼア」（全米1位）、「イフ・ユーアー・レディ」（全米9位）など、数々の大ヒット曲が生まれ、彼らの人気は世界的なものとなりました。

1972年8月20日には、ロサンゼルス・メモリアル・コロシアムで行われたスタックス主催のコンサート「ワッツタックス」に出演。このコンサートの模様は映画化され、1973年に公開されました。

その後

1975年にスタックスが倒産すると、カーティス・メイフィールドのレーベル、カートムへ移籍。同年10月には、メイフィールドが手掛けたシングル「レッツ・ドゥ・イット・アゲイン」を発表し、ビルボードのポップチャートとソウルチャートで1位を獲得しました。この曲は、映画『シドニー・ポワチエ / 一発大逆転』の挿入歌としても使用され、サウンドトラック盤も発売されています。

1978年には、ザ・バンドのドキュメンタリー映画『ラスト・ワルツ』に出演し、ザ・バンドの代表曲「The Weight」を演奏しました。

1976年から1978年の間にはワーナー・ブラザース・レコードに在籍し、3枚のアルバムをリリース。ワーナー時代は、グループ名を「ザ・ステイプルズ」と改名しています。その後も、20世紀フォックス、プライベートIなどのレーベルで作品を発表し、「Slippery People」などのヒットも生まれましたが、スタックス時代の成功を超えることはできませんでした。

1999年にはロックの殿堂入りを果たし、ローリン・ヒルがプレゼンターを務めました。

2000年12月19日、ポップスが逝去。グループは活動を停止し、メイヴィス・ステイプルズはソロとして活動を続けています。

2005年には、グラミー賞の特別功労賞を受賞しました。

メンバー

ローバック "ポップス" ステイプルズ (Roebuck "Pops" Staples) ギター、ボーカル
クレオサ・ステイプルズ (Cleotha Staples) ボーカル
メイヴィス・ステイプルズ (Mavis Staples) ボーカル
パーヴィス・ステイプルズ (Pervis Staples) ボーカル
イヴォンヌ・ステイプルズ (Yvonne Staples) ボーカル

ディスコグラフィー

Uncloudy Day (1959)
Swing Low Sweet Chariot (1961)
Hammer and Nails (1962)
Swing Low (1962)
This Land (1962)
The 25th Day of December (1962)
Gamblin' Man (1963)
This Little Light (1964)
Amen! (1965)
For What It's Worth (1967)
Soul Folk in Action (1968)
We'll Get Over (1970)
The Staple Swingers (1971)
Be Altitude: Respect Yourself (1972)
Be What You Are (1973)
City in the Sky (1974)
Let's Do It Again (1975)
Pass It On (1976)
Family Tree (1977)
Unlock Your Mind (1978)
Hold on to Your Dream (1983)
Turning Point (1984)
The Staple Singers (1985)

ザ・ステイプル・シンガーズは、ゴスペルをルーツに持ちながらも、時代に合わせた音楽性を取り入れ、社会的なメッセージを発信し続けた、唯一無二のグループです。メイヴィス・ステイプルズはローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガーにおいて第56位にランクインしています。

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