ザ・ビートルズ日本公演 (テレビ番組)

ザ・ビートルズ日本公演：空前の視聴率と貴重な映像記録

1966年、東京・日本武道館で行われたザ・ビートルズの来日公演。その熱狂は、音楽史に大きな足跡を残しました。本記事では、日本テレビが放送した『ザ・ビートルズ日本公演』（7月1日昼公演）に焦点を当て、その歴史的意義と放送の裏側を詳細に解説します。

56.5％という驚異的な視聴率

この番組は、日本テレビをキー局として、全国33局で放送されました。関東地区の視聴率は、なんと56.5％を記録。これは2007年9月時点で、特別番組の視聴率日本最高記録として、現在もその記録は破られていません。ビートルズ人気がいかに凄まじかったかを如実に示す数字と言えるでしょう。同時ネット局はカラー放送でしたが、遅れネットの局ではモノクロ放送だったところが多く、地域差も垣間見えました。

番組内容：ドキュメンタリーとノーカットライブ

番組は大きく3部構成で、冒頭はビートルズのメンバーと司会者による対談やホテルでの様子などを捉えた7分間のドキュメンタリーパートから始まりました。その後、日本人出演者による前座演奏に続き、待望のビートルズライブがノーカットで放送されました。演奏されたのは全11曲。しかし、当時ビートルズはコンサート活動に疲弊していた時期でもあり、演奏は散漫なものだったという批評もありました。このため、熱狂的なファンの中には、期待外れだったと感じる人もいたようです。

歴史的価値：カラーVTRで残された貴重な映像

にも関わらず、この番組は歴史的価値が非常に高いです。鮮明なカラーVTR映像でビートルズの演奏が記録されているのは、現在でも非常に貴重な映像遺産として扱われ、日本テレビとアップル・コアが大切に保管しています。番組のテーマ曲には「ミスター・ムーンライト」が使用され、羽田空港に到着したビートルズの車が高速道路を疾走するシーンと相まって、番組の世界観を盛り上げていました。

放送権争いとスポンサー

番組制作の裏側では、放送権を巡る争いがありました。読売新聞社と中部日本放送（CBC）が主催した公演のため、日本テレビとTBSの間で激しい争奪戦が繰り広げられました。最終的に日本テレビが放映権を獲得しましたが、CBCが主催者であることを考慮し、名古屋地区ではCBCが放送することになりました。スポンサーはライオン油脂とライオン歯磨（現・ライオン）で、日本武道館には両社の看板が掲げられていました。ライオン歯磨は、懸賞企画で公演チケットを提供していました。

再放送とマスターテープ

1978年には『木曜スペシャル』枠で「今世紀最初で最後、たった一度の“再放送”」として放送されましたが、これは6月30日の夜公演の映像であり、7月1日の昼公演の再放送ではありませんでした。これは、7月1日のマスターテープをマネージャーが持ち帰ったため、日本には6月30日のテープしか残っていなかったためです。また、スポンサーの看板を映さないという契約があったため、映像はトリミング処理されました。1980年、1988年にも再放送が行われましたが、技術の進歩と共に画質が向上しました。

曲目

番組で演奏された楽曲は以下の通りです。

ロック・アンド・ロール・ミュージック
シーズ・ア・ウーマン
恋をするなら
デイ・トリッパー
ベイビーズ・イン・ブラック
アイ・フィール・ファイン
イエスタディ
アイ・ウォナ・ビー・ユア・マン
ひとりぼっちのあいつ
ペイパーバック・ライター
* アイム・ダウン

番組のテーマ曲として「ミスター・ムーンライト」が使用されました。

まとめ

『ザ・ビートルズ日本公演』は、空前の視聴率と貴重な映像記録を残した、歴史的な番組でした。番組の成功の裏には、放送権争いやスポンサーとの関係など、様々なドラマがありました。この番組を通して、ザ・ビートルズの日本における人気と、当時の日本のテレビ放送事情の一端を知ることができるでしょう。 現在も語り継がれるこの番組は、日本におけるビートルズの歴史を語る上で欠かせない存在となっています。

もう一度検索