ザ・ワークス (アルバム)

クイーン11作目のアルバム『ザ・ワークス』

『ザ・ワークス』（The Works）は、イギリスのロックバンド、クイーンが1984年に発表した11枚目のスタジオアルバムです。メンバーそれぞれのソロ活動期間を経て、アメリカでの販売網がエレクトラ・レコードからキャピトル・レコードへ、日本国内ではワーナー・パイオニアから東芝EMIへと移籍後、初のアルバムとなりました。

アルバムの内容

音楽的な方向性としては、前作『ホット・スペース』から一転し、前々作『ザ・ゲーム』の路線に近い作品となっています。この変化は商業的にも成功を収め、特にイギリス本国では100万枚のセールスを記録する大ヒットとなりました。

アルバムを代表する楽曲の一つである「RADIO GA GA」は、ロジャー・テイラーが作曲したもので、その印象的なビデオクリップの振り付けはライブでも観客と一体となるほどの浸透を見せました。また、「ブレイク・フリー (自由への旅立ち)」は、抑圧された国々で自由への象徴として受け止められ、英語圏だけでなく多くの国々で支持を得るヒット曲となりました。

しかし、ビジネス面では、初期から引きずっていた「シングルB面曲でもA面曲と同額の著作権料が入る」という問題が解決されておらず、楽曲のアレンジ面では、他のメンバーが作った曲に対して自分のパートの最低限のアレンジしかしないという現象が一部に見られました。

「ブレイク・フリー (自由への旅立ち)」のミュージックビデオでは、メンバー全員がイギリスのソープオペラ「コロネーション・ストリート」風に女装した姿を披露しました。この曲は南米やアフリカでも支持を集めましたが、ライブでビデオと同じ衣装で登場した際、観客からブーイングを浴びるという逸話も残っています。これは、曲が持つ「自由への賛歌」というイメージと、ビデオのコミカルな演出とのギャップが原因とされています。

アルバムジャケット

アルバムジャケットには、往年のハリウッドスターを撮影したことで知られる写真家ジョージ・ハーレルが撮影した、メンバー4人のシンプルなセピアカラーの写真が使用されています。

シングル

このアルバムからは、「RADIO GA GA」と「ブレイク・フリー (自由への旅立ち)」に加え、「永遠の誓い」「ハマー・トゥ・フォール」の計4曲がシングルカットされました。さらに、1984年のクリスマスソングで、アルバム未収録の「サンク・ゴッド・イッツ・クリスマス」のシングルのB面にアルバム収録曲が収録されており、結果としてアルバム収録曲全てがシングルとしてリリースされる形となりました。また、12インチ盤やピクチャースリーブなど、コレクター向けのバージョンも発売されています。

発売日

イギリス - 1984年2月27日
日本 - 1984年3月16日

収録曲

アルバムには以下の楽曲が収録されています。

Radio Ga Ga
Tear It Up
It's A Hard Life
Man On The Prowl
Machines (Or 'Back To Humans')
I Want To Break Free
Keep Passing The Open Windows
Hammer To Fall
Is This The World We Created...?

担当

クイーン
フレディ・マーキュリー – リードヴォーカル、コーラス、ピアノ、シンセサイザー、サンプラー（#1）
ブライアン・メイ – ギター、コーラス
ロジャー・テイラー – ドラムス、電子ドラム、ヴォコーダー、コーラス、シンセサイザー、サンプラー（#1）、パーカッション（#2）
ジョン・ディーコン – ベース、ギター（#6）、シンセサイザー（#6）
補助メンバー
フレッド・マンデル - シンセサイザー、ピアノ（#4）
* ラインホルト・マック - レコーディングエンジニア、プログラミング（#5）

もう一度検索