シカゴ・アンド・ノース・ウェスタン・トランスポーテーション・カンパニー

シカゴ・アンド・ノース・ウェスタン鉄道（Chicago and North Western Transportation Company）

シカゴ・アンド・ノース・ウェスタン・トランスポーテーション・カンパニー（略称：C&NW）は、アメリカ合衆国中西部の広大な地域を網羅していた、かつて存在した一級鉄道会社です。「ノース・ウェスタン鉄道」の呼称でも広く知られ、報告記号はCNWでした。

概観と歴史

C&NWの起源は、1848年に設立特許を取得した会社に遡ります。特に重要なのは、1865年に合併したガリーナ・アンド・シカゴ・ユニオン鉄道（G&CU）です。G&CUは1836年に設立が認められ、1848年にはすでに営業を開始していました。このため、多くの歴史家はG&CUをノース・ウェスタン鉄道の事実上の源流と見なしています。

会社はその歴史の中で積極的に他の鉄道会社を併合・買収することで規模を拡大しました。1882年にはシカゴ・セント・ポール・ミネアポリス・アンド・オマハ鉄道（通称「オマハ鉄道」）の株式の過半数を取得し、1972年には正式に吸収合併しています。オマハ鉄道は、ノース・ウェスタン鉄道の路線と結びつくウィスコンシン州からネブラスカ州オマハに至る重要な幹線を担っていました。

1950年代後半から1960年代にかけては、さらに大規模な合併が相次ぎました。1960年には、名称に反してイリノイ州ピオリアまで路線を延ばしていたミネアポリス・アンド・セント・ルイス鉄道（M&StL）を約1500マイル（約2400キロメートル）の路線網と共に獲得。1968年には、規模がほぼ同等であったシカゴ・グレート・ウェスタン鉄道（CGW）を吸収しました。CGWの獲得は、シカゴからツイン・シティズ（ミネアポリスとセントポール）、オマハ、そしてミズーリ州カンザスシティへのアクセスを強化し、競合を減らす上で極めて重要でした。これらの合併を経て、C&NWはアメリカ有数の巨大鉄道会社へと成長しました。

路線網は拡大を続け、1970年代後半には約1万2000マイル（約1万9000キロメートル）に達しました。しかし、この時期から経営規模の縮小が始まり、特に輸送量の少ない支線が整理されました。アイオワ州、イリノイ州、ミネソタ州、サウスダコタ州、ウィスコンシン州などに広がる多くの支線が売却または廃止され、中には接続していた他の短距離鉄道にも影響を与えました。

また、1980年にシカゴ・ロック・アイランド・アンド・パシフィック鉄道（ロック・アイランド鉄道）が運行を停止した後、C&NWはスー・ライン鉄道との競争に勝利し、ツイン・シティズからデモインを経由してカンザスシティに至る約600マイル（約970キロメートル）の重要路線（通称「スパイン線」）を獲得しました。この路線は多額の投資による大規模な修復工事を経て、C&NWの新たな主要幹線となりました。

経営の転換と終焉

1972年には、当時の社長ベンジャミン・W・ハインマンの主導により、従業員保有会社制度（ESOP）を導入し、会社は従業員に売却されました。一時期、会社のロゴにも「Employee Owned」の文字が加えられ、このユニークな経営形態は注目を集めました。

しかし、路線網の整理は続き、1995年には約5000マイル（約8000キロメートル）まで縮小しました。そして、1995年4月、シカゴ・アンド・ノース・ウェスタン・トランスポーテーション・カンパニーは、ユニオン・パシフィック鉄道（UP）に買収され、その歴史に幕を閉じました。

遺産

C&NWの消滅後も、その遺産は様々な形で残っています。ユニオン・パシフィック鉄道に引き継がれた多くの機関車は、しばらくの間、C&NW時代の塗装のまま運用されました。特にGE製のC44-9W形機関車2両は、2007年時点でもC&NWのロゴと報告記号を維持し、UP仕様の装備に改修されながらも運用されています。また、一部の機関車は他の鉄道会社や私有地で現在も使用されているものがあります。

ユニオン・パシフィック鉄道は、かつて吸収した鉄道会社の塗装を現行の機関車に再現する「ヘリテイジ塗装」を展開しており、2006年にはC&NW塗装を施したSD70ACe形機関車が登場しました。この機関車は、かつてC&NWが運行していた区間を走行することもあり、過去の機関車と共に運行されることもあります。

C&NWの特筆すべき運行習慣としては、複線区間での「左側通行」が挙げられます。これは、初期の単線時代の駅構造や線路増設の経緯、信号設備移設にかかる費用などが理由とされています。また、中古品を積極的に活用し、できる限り経済的に運営しようとする姿勢は、「Cheap and Nothing Wasted」（安価に、かつ無駄なく）というスラングめいた評価を生むほどでした。

旅客輸送

旅客輸送においても、C&NWは重要な役割を果たしました。最も有名な列車は、1935年に登場したシカゴとツイン・シティズを結ぶ特急「400」シリーズです。この愛称は、両都市間のおよそ400マイル（約640キロメートル）を400分で結ぶという目標時間（後に達成されず）に由来するとされます。競合する他社の高速列車と張り合い、流線型の新型客車や機関車も導入されました。この「ツイン・シティ400」は1963年まで運行され、その他の「400」を冠する列車を含むC&NWの旅客列車は、1971年にアムトラックが設立されるまで運行を続けました。

さらに、C&NWはユニオン・パシフィック鉄道やサザン・パシフィック鉄道と連携し、「オーヴァーランド・リミテッド」や「シティ・オブ・ロサンゼルス」、「シティ・オブ・サンフランシスコ」といった大陸横断列車の一部を、シカゴとポイント・オマハ間で運行しました。これらの長距離列車は1889年から1955年までC&NW経由で運行されましたが、その後、より線路状態が良いとされたミルウォーキー鉄道経由に変更されています。

競合

C&NWは中西部で複数の鉄道会社と競合していました。特に、1985年に破綻するまではミルウォーキー鉄道が主要な競争相手であり、その後はスー・ライン鉄道が主な競合相手となりました。

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