シトロエン・エグザンティア

シトロエン・エグザンティア：フランスが生んだ快適な中型車

シトロエン・エグザンティアは、フランスの自動車メーカー、シトロエンが1993年から2001年にかけて製造・販売していた中型乗用車です。同社のベストセラーモデルであるBXの後継車として登場し、独特の乗り心地と洗練されたデザインで人気を博しました。

開発と歴史

エグザンティアは、1993年に5ドアハッチバックモデルで欧州市場にデビュー。1.6L、1.8L、2.0Lのガソリンエンジンと、1.9Lのディーゼルエンジン（ターボ付きと自然吸気）を用意しました。日本市場には2.0LエンジンのSXとV-SXが導入され、それぞれハイドロニューマチックサスペンションと進化版のハイドラクティブIIを搭載していました。

1994年にはマイナーチェンジを実施。ボンネットのダブルシェブロンマークをフロントグリルに移設したほか、エアバッグとABSを全モデルに標準装備。タイヤサイズを14インチから15インチに変更し、油圧システムも改良。さらに、ロールを抑制するアクティブサスペンション「アクティバ・システム」を搭載したXantia Activaも追加されました。Xantia Activaは、その高いロードホールディング性能で注目を集めました。

1995年には、1.8Lと2.0Lガソリンエンジンを8バルブから16バルブに変更（2.0L AT車は8バルブ継続）。ステーションワゴンモデルの「ブレーク」も追加されました。その後、ディーゼルエンジンはターボ付きに統一され、2.1L 12バルブターボディーゼルモデルも登場します。

1998年のマイナーチェンジでは、ガソリンエンジンをすべて16バルブ化。フロントマスクのデザイン変更、ATメーカー変更、全長延長、内装変更など、大幅な改良が加えられました。また、3.0L V6エンジンモデルも追加されました。フランスでのLPG自動車ブームを受け、LPG/ガソリン切り替え式モデルも設定されました。

2001年に生産終了し、後継車種としてC5が登場しました。

機構とデザイン

エグザンティアは、シトロエン伝統のハイドロニューマチックサスペンションシステム（初期モデルは鉱物油LHM、後続モデルは化学合成油LDSを使用）とFF駆動方式を採用。サスペンションは、前輪がストラット、後輪がトレーリングアームでした。セダンボディのサイズは、全長4,440mm×全幅1,755mm×全高1,380mm、ホイールベース2,750mmでした。

デザインは、イタリアのカロッツェリア、ベルトーネが担当。BXのファストバックスタイルを踏襲しつつ、ノッチバック風のシルエットに仕上げました。伝統的なハッチバック機構と独特のリアデザインを融合させた点が特徴です。また、GS以来続いていたシトロエン独自のシルエットデザインからの脱却も図られました。

日本での販売

日本市場では、新西武自動車販売とマツダユーノスが正規輸入販売を行いました。当初は「サンティア」という名称が予定されていましたが、マツダ・センティアと混同される可能性があるため「エグザンティア」に変更されました。セダンとブレーク、2.0Lガソリンエンジンモデル、そして後に3.0L V6モデルも導入されました。

車名の由来

車名は、シトロエンの乗用車の車名に多く使われていた「X」を頭に付け、ギリシャ神話に登場するアキレウスの戦車を引く神馬「クサントス」に由来しています。発音は国によって異なり、フランスでは「クサンティア」、イギリスでは「ザンティア」などと呼ばれていました。

まとめ

エグザンティアは、快適な乗り心地と独特のデザイン、そして先進的な技術を融合させたシトロエンを代表するモデルの一つでした。その革新的なサスペンションシステムや、時代の流れを反映したデザインは、現代においても高く評価されています。生産終了から年月が経ちますが、エグザンティアは、多くのファンに愛され続けるモデルとして記憶されています。

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