シボレー・シルバラード

シボレー・シルバラードは、アメリカ合衆国の自動車メーカーであるゼネラルモーターズ（GM）が、同社の主要ブランドであるシボレーから販売している大型ピックアップトラックです。長年にわたり生産されてきたシボレー・C/Kシリーズの後継モデルとして位置づけられています。

概要

アメリカ国内のピックアップトラック市場において、シルバラードは非常に強い存在感を示しており、特にフォード・Fシリーズに次ぐ年間販売台数第2位の座を長年維持しています。GMのラインナップにおいては、GMCブランドから販売されるGMC・シエラとは姉妹車の関係にあります。また、GMが製造するフルサイズSUV（シボレー・タホ、シボレー・サバーバン、GMC・ユーコン、キャデラック・エスカレード、ハマーH2）や、ピックアップトラックでありながらSUV的な要素も持つSUT（シボレー・アバランチ）の多くは、シルバラードと共通の車台（プラットフォーム）を基盤として開発されています。シルバラード自体は1999年モデルとして登場しましたが、姉妹モデルであるGMC・シエラはそれよりも早い1988年に先行して登場しています。

歴史

初代 (1999年-2007年モデル)

シボレーのC/Kシリーズの後を継ぐ形で市場に投入されました。初期のデザインはC/Kシリーズの面影を強く残しつつも、全体的に丸みを帯びたスタイリングが特徴でした。リアゲートに大きく「CHEVROLET」と表記された仕様も多く存在します。この世代では、GMT800系と呼ばれるプラットフォームが採用されました。

2001年モデルでは、フォードのスーパーデューティーシリーズに対抗するため、さらに大型で積載能力の高いヘビーデューティーシリーズが追加されました。このシリーズには、後輪が左右それぞれ2輪ずつとなるダブルタイヤ仕様（3500シリーズ）や、排気量8.1リッターの大排気量エンジン搭載モデルなどもラインナップされました。2002年モデルではフェイスリフトが実施され、フロントマスクのデザインがよりアグレッシブな印象に変化しました。この初代モデルは、後継となる2代目モデルが投入された後も、「クラシックシリーズ」として一定期間生産が継続されました。

また、2002年モデルからオプションとして選択可能だったのが、デルファイ社が開発した四輪操舵システム「クワドラステア」です。この技術は、トラックの回転半径を大幅に縮小し、狭い場所での取り回しや、トレーラー牽引時の車線変更を容易にする効果がありました。しかし、このオプションは価格が高価であったため販売が振るわず、GMは2005年モデル以降、全ラインナップからクワドラステアの設定を廃止しました。

フェイスリフト後のモデルは、特徴的なヘッドライト形状からユーザーの間で「Cat eye（キャットアイ、猫の目の意）」という愛称で呼ばれることがあります。この時代には、高性能モデルとしてSSTコンセプトが発表され、6.6リッターエンジンをベースにチューニングされた最高出力487psを発生するパワートレインや、コルベット譲りの足回り、トランスミッションなどが盛り込まれました。これをベースとしたSSコンセプトも発表され、2003年モデルとして市販化されましたが、市販版の出力は345hpに抑えられました。

モデル：GMC・シエラC3/デナリ

GMCは2001年、シエラ1500シリーズの豪華仕様版として「シエラC3」を投入しました。325hpを発生する6.0リッターV8エンジンを搭載し、全輪駆動（AWD）が標準、充実した装備が特徴でした。翌年には「シエラデナリ」と名称を変更しましたが、クワドラステアが標準装備された点を除けば、仕様は基本的にシエラC3を踏襲していました。

モデル：シボレー・シルバラードSS

2003年に登場した「シルバラードSS」は、シボレーが手掛けた高性能トラックです。シルバラード1500をベースに、走行性能に関わるドライブトレーンや内外装にアップグレードが施されました。搭載された6.0リッターV8エンジンは、5200rpmで最高出力345hp、4000rpmで最大トルク515N・mを発揮し、これは2代目キャデラック・エスカレードにも採用されていたエンジンです。登場当初はAWDが標準設定でしたが、後に後輪駆動（RWD）のみのラインナップに変更されました。シルバラードSSには、専用のZ60パフォーマンスサスペンションや20インチのクロームホイールが装着されました。

2代目 (2007年-2014年モデル)

「This is our truck」というキャッチフレーズと共に登場した2代目は、近年のアメリカ車に見られるデザイントレンドを取り入れ、再びC/K時代のようなスクエアなスタイルへと回帰しました。競合モデルと比較して燃費性能の優位性がアピールされました。この世代では、GMT900系のプラットフォームが採用されています。インテリアにおいては、従来のトラックらしい「ピュア・ピックアップ・インテリア」に加え、上級グレードにはSUVのタホと共通の、より乗用車に近い印象のインパネが選択可能となりました。

2代目は高い評価を受け、2007年には北米カー・オブ・ザ・イヤーのトラック部門を受賞しました。2008年 8月には、長年首位を維持していたフォード・Fシリーズを一時的に抜いて、全米販売台数1位を達成しました。これは、当時のガソリン価格の下落に加え、GMが購入者に対して手厚い販売促進策を実施したことが影響したと考えられます。しかし、2009年にはフルモデルチェンジしたFシリーズに再び販売台数で逆転されています。

2008年には、GMのSUVで既に採用されていた2モードハイブリッドシステムを搭載したモデルが、2009年モデルとして市場に投入されました。これは、世界で初めて市販されたハイブリッドフルサイズピックアップトラックであり、登場時点ではフルサイズピックアップの中で最も優れた燃費性能を誇りました。

このモデルから、メキシコ市場においては、主に商用利用を想定したグレードを「シルバラード」、個人向けの豪華装備を備えた上位グレード（LT, LTZなど）を「シャイアン」という名称で販売するようになりました。

モデル：GMC・シエラデナリ

2007年モデルのシエラデナリは、他のGMCデナリシリーズと共通のデザイン要素であるビレットグリルを採用し、インテリアも2007年モデルのSUVと共通のダッシュボードデザインに変更されました。当初は0.5トンの積載クラスのみが用意され、403hp、565N・mを発揮する6.2リッターエンジンに6速オートマチックトランスミッションが組み合わされました。オプションでAWDも選択可能で、0-60mph加速は6.3秒という俊足でした。

3代目 (2014年モデル-)

2014年モデルとして登場した3代目は、継続的な改良が重ねられています。2019年には大規模なモデルチェンジが行われ、さらに進化しました。2022年10月6日には、2024年モデルが発表されています。

2024年モデルでは、フロントバンパーやフロントグリルなどの外観デザインが一新され、ホイールのデザインも新しいものが導入されました。インテリアには新色の採用や新しいステッチデザインが加えられています。エンジンラインナップとしては、従来のモデル比で低速トルクが25%向上した最高出力470馬力、最大トルク975lb-ftを発生する6.6リッターV型8気筒ターボディーゼルエンジンと、6.6リッターV型8気筒ガソリンエンジンの2種類が設定されました。トランスミッションには新たに10速オートマチックが搭載されています。

安全装備も強化されており、特に大型トレーラーの牽引を考慮した機能が充実しています。車両とトレーラーそれぞれに設置されたカメラ映像を合成することで、トレーラー周囲の状況を広範囲に確認できる「トレーラービュー」や、重量のあるトレーラーを牽引している状態に対応した新しいアダプティブクルーズコントロール（ACC）などが装備されています。

また、最上級グレードである「デナリ」に加えて、さらに豪華な「デナリアルティメット」が新たに設定されました。この最上級モデルの外観は、専用デザインのグリルや「ベイダー」クローム仕上げの専用エンブレム、ハイグロスブラックの専用20インチアルミホイールが特徴です。フェンダーには、北米最高峰のデナリ山の地形をモチーフにしたバッジが装着されています。インテリアは「アルパイン」アンバーカラーのデナリアルティメット専用デザインとなり、最高品質のフルグレインレザーや、濃い色合いと独特の木目が美しい「パルダオ」ウッドが随所に配されています。15インチの大型ディスプレイやサンルーフが標準装備されるほか、スエード素材のルーフライニング、12スピーカーのBose製サウンドシステム、マッサージ機能付きフロントシートなどがオプションで用意されています。

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