シャンティリーの戦い

シャンティリーの戦い：南北戦争の転換点

シャンティリーの戦い（南軍はオックスヒルの戦いとも呼称）は、南北戦争における重要な戦闘の一つであり、1862年9月1日、バージニア州フェアファックス郡で発生しました。この戦いは、北バージニア方面作戦の終結を告げるものとなりました。

戦いの背景

第二次ブルランの戦いで敗北を喫した北軍のジョン・ポープ少将は、その軍隊をセンタービルへと撤退させました。夜陰に乗じて行われたこの撤退では、アービン・マクドウェル少将の第3軍団が殿軍を務め、ブルラン川を渡河し、最後の部隊であるフランツ・シーゲルの第1軍団が石橋を破壊しました。一方、南軍のロバート・E・リー将軍は、兵士たちの疲労を考慮し、直ちに追撃をせず、北軍の撤退を許しました。この判断により、北軍ナサニエル・バンクス少将の第2軍団もポープ軍本隊に合流することができ、さらに、半島方面作戦から帰還したジョージ・マクレラン少将率いるポトマック軍の第5、第6軍団もポープの指揮下に入るという事態となりました。

しかし、ポープは軍隊の指揮系統を完全に掌握できておらず、第二次ブルランの敗北によって精神的に疲弊し、今後の作戦方針に迷っていました。ワシントン政府からの攻撃命令を受けていたものの、リー軍による先制攻撃を恐れて、センタービルで作戦会議を開き、ワシントンの防御線まで後退することを決定しました。しかし、総司令官ヘンリー・ハレックからの攻撃命令が下されたため、ポープはリー軍に向けて前進を命じました。

リーは既にポープの攻撃を事前に阻止する作戦を実行に移していました。ストーンウォール・ジャクソン少将には、北軍の右翼を回り込み、センタービル後方に回り込むよう指示し、J・E・B・スチュアート少将の騎兵隊が偵察と道路遮断を行いました。ジェイムズ・ロングストリート少将の部隊は、ジャクソン隊が北から東へ回り込み、戦略的に重要なジャーマンタウンを占領する時間を稼ぐため、その場に留まりました。ジャーマンタウンは、ワシントンへの主要な道路が交差する地点でした。しかし、ジャクソン隊は疲労困憊しており、センタービルの北東で野営しました。

8月31日の夜、北軍の副官がジャーマンタウンの陣地から帰還し、大規模な騎兵部隊が交差点を砲撃して撤退したと報告しました。その後、歩兵の大部隊が道路を東へ進んでいるとの報告を受け、ポープは危機を認識し、攻撃命令を取り消してワシントンへの撤退を命令しました。

戦闘

9月1日の朝、ポープは偵察と撤退のための道路確保を目的として部隊を派遣しました。同時に、ジャクソン隊を阻止するために、アイザック・スティーブンス准将とジェシー・リー・リノ少将の部隊も派遣されました。フィリップ・カーニー少将の師団もその後を追いました。

ジャクソン隊は南へ進軍しましたが、疲労と悪天候のため、進軍は遅々として進みませんでした。オックスヒルでスティーブンスの部隊と遭遇し、戦闘が勃発しました。スティーブンスは劣勢でありながらも攻撃を仕掛け、一時的に成功を収めたものの、南軍の反撃によって後退させられ、戦闘中に戦死しました。

カーニー師団が到着し、攻撃を命令しましたが、カーニー自身も戦闘中に戦死しました。その夜、ロングストリート隊がジャクソン隊を支援するため到着し、北軍はジャーマンタウンまで撤退しました。

戦闘の結果とその後

シャンティリーの戦いは戦術的には引き分けに終わりましたが、ジャクソン隊の迂回作戦は失敗し、北軍の退却路を遮断することはできませんでした。しかし、北軍は重要な将軍2人を失いました。ポープはワシントンへの撤退を続け、リーはメリーランド方面作戦を開始しました。ポープ軍は解体され、マクレラン軍に吸収されました。

今日の戦場跡

シャンティリーの戦場跡は、かつて農地であった場所であり、現在はフェアファックス市の郊外に位置しています。オックスヒル戦場公園として整備され、フェアファックス郡公園管理局によって管理されています。

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