シュコドラ

シュコドラ（Shkodër / Shkodra）

アルバニア北西部に位置するシュコドラは、シュコドラ県の県都であり、アルバニアで最も古い歴史を持つ都市の一つです。シュコダル湖に面し、アルバニア北部の文化・経済の中心地として重要な役割を果たしています。人口は約9万5千人で、首都ティラナからは約116キロメートル離れています。

名称と語源

シュコドラの名称は、古代にこの地を支配したイリュリア人部族に由来するとされています。古代にはスコンドリノン（SKONDRINON）と呼ばれていました。現代では、英語でスクタリ、ギリシャ語でスコウタリオンやスコドラ、トルコ語でイシュコドラ、セルビア語やモンテネグロ語でシュカダルなど、様々な言語で異なる呼称が用いられています。アルバニア語の民間語源では、「ドリンはどこへ行くか」を意味する「Shko-drin」に由来するとも言われています。これは、ロザファ城の近くでドリン川がブナ川と合流することに由来します。また、「丘へ行く」を意味する「Shko-kodër」に由来するという説もあり、町のシンボルであるロザファ城の丘を指していると考えられています。

歴史

古代

古代にはスコドラとして知られ、イリュリア人のアウタリティア族の最初の王国の首都でした。その後、ラベアテス族の時代やゲンティウス王国の首都としても記録されています。ローマ帝国の支配下に入ると、重要な交易・軍事拠点となりました。ローマは町を植民地化し、属州イリュリクム、ダルマチア属州の一部となりました。

中世

中世にはスラヴ人がこの地域に侵入し、ビザンチン帝国の支配を受けました。セルビア人がシュコドラ周辺を支配し、その後ドゥクリャ公国が成立しました。シュコドラは中世モンテネグロの主要都市として繁栄しました。10世紀にはブルガリア帝国の支配を受け、その後ビザンチン帝国がこの地域を直接統治しました。11世紀にはドゥクリャ王コンスタンティヌ・ボディンがシュコドラで十字軍を迎えました。12世紀には中世セルビアの一部であるゼタ公国の領域となりました。

15世紀から19世紀

ヴェネツィア共和国の支配を経て、1474年にオスマン帝国の攻撃を受けました。1478年にはメフメト2世自らがシュコドラを包囲しましたが、町は抵抗を続けました。オスマン帝国は最終的に町を占領し、多くの住民が流出しました。17世紀にはスクタリ・サンジャクの中心として繁栄し、アルバニア北部の経済中心地となりました。手工業が発展し、織物、絹、武器、銀細工などが生産されました。18世紀にはブシャティ家の支配下に入り、パシャルクの中心となりました。19世紀後半には重要な交易中心地となり、バルカン半島全体の商業の中心として発展しました。外国の領事館が開設され、イエズス会神学校やフランシスコ会のコミュニティが設立されました。シュコドラはアルバニア人解放運動においても重要な役割を果たし、プリズレン連盟のシュコドラ支部が置かれました。また、アルバニア語の新聞や書籍が初めて出版されたのもこの地です。

20世紀

バルカン戦争時、オスマン帝国下のシュコドラはモンテネグロ王国に占領されました。第一次世界大戦中にはモンテネグロ、オーストリア＝ハンガリー帝国の支配を受けました。1920年代にはユーゴスラビア王国の軍事的脅威にさらされました。1921-1924年には民主化運動の中心となり、1924年から1939年にかけては工業化が進みました。1990年代初期には再び民主化運動の中心となり、社会主義政権の終焉を迎えました。

21世紀

2000年代以降、町の再生が進められ、インフラ整備や建物の改修が行われました。2010年には大規模な洪水被害に見舞われましたが、その後復興が進められています。

気候

シュコドラは地中海性気候に属していますが、温暖湿潤気候に近い特徴も持っています。年間平均気温は14.5℃から16.8℃で、年間降水量は2,000ミリメートルとヨーロッパでも有数の多雨地域です。

産業・文化

シュコドラは教育・産業の中心地であり、機械製品、繊維、食品などが生産されています。ルイジ・グラクチ大学はアルバニア有数の学術機関です。公共図書館には25万冊以上の蔵書があり、文化センター、美術館、歴史博物館など様々な文化施設があります。シュコドラはアルバニアにおけるカトリック教会の中心地でもあり、多くの教会や宗教施設があります。

みどころ

シュコドラには多くの見所があります。

ロザファ城：町のシンボルであり、イリュリア時代に建設された歴史的な城です。城からはシュコダル湖や周辺の景色を一望できます。
シュコダル湖：バルカン半島最大の湖であり、夏には多くの観光客が訪れます。
ピヤツァ：町の中心部に位置する美しい広場です。
シュルドハ島：ドリン川のダム湖に浮かぶ島で、かつて有力なドゥガジニト家の夏の避暑地でした。

シュコドラは、その豊かな歴史と文化、美しい自然が魅力的な都市です。アルバニアを訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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