シュトラウスベルク鉄道

シュトラウスベルク鉄道

ドイツ連邦共和国の都市シュトラウスベルクにおいて公共交通を運営する企業体、シュトラウスベルク鉄道株式会社（ドイツ語: Strausberger Eisenbahn GmbH、略称: STE）が運営する路面電車路線について解説します。

概要

シュトラウスベルク鉄道は、シュトラウスベルク市内の主要な交通機関の一つとして機能しています。路線網は比較的短いながらも、市の中心部とドイツ鉄道の駅を結ぶ重要な役割を担っています。同社は、ベルリン州およびブランデンブルク州の多くの交通事業者が加盟するベルリン・ブランデンブルク運輸連合（VBB）に所属しており、その路線は「89号線」という系統番号で案内されています。

歴史

シュトラウスベルク鉄道の起源は、1893年に設立されたシュトラウスベルク軽便鉄道（Strausberger Kleinbahn AG）に遡ります。この企業は、郊外に建設されたプロイセン東部鉄道のシュトラウスベルク駅と、市街地を結ぶ交通網を整備する目的で設立されました。開業は同年8月17日で、当初は非電化の路線を蒸気機関車が牽引する形態で運行されていました。この路線は旅客輸送に加え、貨物輸送も積極的に行われ、開業当初から活況を呈しました。

20世紀初頭には電化の計画が持ち上がりましたが、第一次世界大戦の開戦により一旦見送られました。しかし、敗戦による経済の混乱とそれに伴う深刻な石炭不足を受け、シュトラウスベルク市議会は1919年に路線の電化に関する特別委員会を設置し、同年7月からは架線の敷設を含む工事が開始されました。資材や人員の不足、限られた予算、そしてインフレーションといった様々な困難に直面しながらも、電化工事は翌1920年には完了しました。これに伴い、運営組織もシュトラウスベルク鉄道株式会社（Strausberger Eisenbahn AG）へと改称され、1921年3月16日には電車による営業運転が始まりました。

電化後、路線網はさらに拡張されました。1926年にはヴリーツェン通り方面への延伸が行われ、1930年代には軍用飛行場へ繋がる貨物専用線の拡大も実施されました。また、1919年以降はシュトラウスベルク市による運営に切り替わっていましたが、1930年代には市が株式の大部分を所有する形態での株式会社化が再度行われました。第二次世界大戦中には、軍需輸送をはじめとする物資や人員の大量輸送に貢献しましたが、ベルリン市内での激しい戦闘により甚大な被害を受け、1945年から1946年にかけて一時的に運行を停止する事態に陥りました。

戦後の復旧を経て、東ドイツ国内の交通網の一部となったシュトラウスベルク鉄道は、何度かの組織再編を経て、1969年からは人民公社であるフランクフルト（オーダー）輸送公社（Kraftverkehr Frankfurt (Oder)）の一部となりました。翌1970年にはヴリーツェン通り方面の路線が廃止され、以降は一部電停の移設を除き、現在の路線網が維持されています。一方、貨物輸送はその後も活況を呈していましたが、東ドイツの民主化とドイツ再統一の影響を受け、輸送量は激減します。最終的に、2005年10月にドイツ鉄道との連絡線が撤去されたことで、正式に廃止されました。

運行

2021年現在、シュトラウスベルク鉄道の路面電車路線は、市内の主要な電停を結んでいます。VBBに所属しており、「89号線」として運行されていることは前述の通りです。2021年以降の基本運賃は1.6ユーロに設定されており、短距離利用の他に、通勤・通学客向けに1週間、1ヶ月、1年といった期間の定期券やサブスクリプションも提供されています。

車両

2021年現在、シュトラウスベルク鉄道で営業運転に使用されている車両は、全て両運転台仕様となっています。これは、路線の終点にループ線が設けられていないため、進行方向を変えるために車体の両端に運転台を備えている必要があるためです。主要な営業車両は以下の通りです。

フレキシティ・ベルリン: ボンバルディア・トランスポーテーション（現：アルストム）製の5車体連接式超低床電車です。ベルリン市電で使用されている車両と同型で、2013年以降2両が営業運転に投入されています。
タトラKT8D5RN2.S: ČKDタトラ製の3車体連接車であるタトラKT8D5が元になっています。1995年にスロバキアのコシツェ市電から3両が譲渡されましたが、フレキシティ・ベルリンの導入に伴い2両はチェコのプラハ市電へ再譲渡されました。残る1両は、プラハ市電の車両基地で機器更新、中間車体の低床車体への交換、塗装変更といった近代化改造が施され、「タトラKT8D5RN2.S」として引き続きシュトラウスベルク鉄道で運用されています。
タトラT6C5: 元々はアメリカ合衆国向けに開発されたものの、量産に至らなかったČKDタトラ製のボギー車です。その特徴である両運転台構造がシュトラウスベルク鉄道の路線に適していたため導入が決定し、2003年以降1両が営業用として活躍しています。

これらの営業車両以外にも、過去に活躍した車両が保存されています。2軸車のTZ 69は動態保存されており、特別な機会に運行されることがあります。また、1940年にデュッセルドルフ市電から移籍した2軸車の16号は静態保存されています。

関連項目

シュトラウスゼーファーレ - シュトラウスベルク鉄道が運営する、架線集電式のフェリー。

（出典、参考文献、外部リンク等は省略）

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