シーイーグル (ミサイル)

BAeダイナミクスによって開発された空対艦ミサイル、シーイーグルについて解説します。航空機から発射され、水上目標を攻撃するこのミサイルは、1980年代から複数の国で運用されました。

開発経緯

シーイーグルは、BAeダイナミクスの前身の一つであるホーカー・シドレー社とフランスのマトラ社が共同開発したマーテル・ミサイルの後継として開発されました。イギリス軍で運用されていたマーテル派生型（レーダー追尾式AJ.168、TV誘導式AS.37）を置き換えるため、1979年8月に開発契約が結ばれ、1981年から試射が開始されました。

性能

シーイーグルは、マーテルをベースに設計されましたが、推進方式と誘導システムが大きく変更されました。マーテルの固体燃料ロケットに代わり、マイクロターボ製TRI-60ターボジェットエンジンを搭載したことで、射程が大幅に延伸され、当初は「クルーズ・マーテル」とも称されました。

誘導方式は、発射後の中間航程では慣性誘導（INS）を用い、目標に接近した終末航程では内蔵のアクティブ・レーダー・ホーミング（ARH）に切り替わります。これにより、母機はミサイル発射後に即座に離脱できる「ファイア・アンド・フォーゲット」能力を実現しました。

本ミサイルは、一群の目標の中から、事前に入力されたレーダー反射パターンに基づいて特定の目標を識別し、攻撃する能力を持ちます。また、優れた電子防護能力を有し、電子妨害（ECM）環境下でも目標を捉えることができ、電波妨害源を追尾する機能も備えるとされています。

命中モードには、目標の喫水線直上を狙うオプションがあります。弾頭の前面は、浅い角度で命中した場合でも高い貫徹力を発揮できるよう、浅い凹角が付けられています。この弾頭は元々、実現しなかった潜水艦発射型マーテル計画のためにイギリス王立兵器研究開発局（RARDE）が開発されたものでした。

運用国と搭載機

シーイーグルは、主にイギリス軍のほか、インド、サウジアラビアなどへ輸出され、様々な航空機に搭載されました。

主要な運用国と搭載機は以下の通りです。

イギリス海軍：BAe シーハリアー
イギリス空軍：ブラックバーン バッカニア、トーネードIDS
インド海軍：BAe シーハリアーFRS.51、ウェストランド シーキング
インド空軍：SEPECAT ジャギュアIM
* サウジアラビア海軍：トーネードIDS

本ミサイルは、1992年度時点で1発あたり約75万USドルと報告されており、1994年度までに計860発が調達されました。

もう一度検索