ジェルマン・レジェ・テストウィード

ジェルマン・レジェ・テストウィード：日本に捧げた生涯

ジェルマン・レジェ・テストウィード（Germain Leger Testvuide、1849年10月2日 - 1891年8月4日）は、19世紀後半の日本で献身的な宣教活動を行ったフランス人宣教師です。パリ外国宣教会に所属し、1873年（明治6年）に来日して以来、西関東および東海地方を中心に福音を伝え、社会福祉に貢献しました。特に、日本初のハンセン病療養所である神山復生病院の設立者として、その名を知られています。

生涯

1849年、フランスのオートマルヌ県ティヴェで生を受けたテストウィードは、ラングルの神学校で学び、助祭となります。1872年10月にはパリ外国宣教会の神学校へ転入し、翌1873年6月7日に司祭に叙階されました。同年7月2日、彼は日本を目指して出発し、12月に横浜に到着しました。来日当初は、横須賀海軍工廠に勤務するフランス人技師のための教会、聖ルイ教会で司牧を務めました。

横浜での宣教

パリ外国宣教会は、1859年（安政6年）の横浜開港と同時に日本への再宣教を開始し、司祭のジラールらを派遣しました。1862年（文久元年）には、近代日本における最初の聖堂である横浜天主堂（山手教会初代聖堂）が、横浜居留地80番地（現在の横浜市中区山下町80）に献堂されました。また、1864年（元治元年）に長崎で献堂された大浦天主堂では、1865年（元治2年）に司祭のプティジャンが隠れキリシタンを発見しました。テストウィードは、このような時代に活躍した宣教師の一人でした。

1875年（明治8年）から、テストウィードは山手教会で教会会計を兼務しつつ、東京近郊の武蔵野方面（八王子、砂川地区）での宣教活動を精力的に行いました。1876年（明治9年）には北緯代牧区巡回宣教師に任命され、より広範囲な地域を担当することになります。

八王子での宣教

1876年（明治9年）に北緯代牧区巡回宣教師に就任後、テストウィードは下壱分方村を訪れて宣教を開始しました。そこからほど近い八王子でも活動を始めます。当時、八王子は生糸や織物の輸出で栄え、「絹の道」を通じて横浜と深く結びついていました。

日本の部落解放運動の先駆者である山上卓樹はテストウィードから洗礼を受け、青年伝道士としてその指導のもとで活動しました。1878年（明治11年）には、故郷の下壱分方村福岡（現在の八王子市泉町）に聖瑪利亜教会を建設しました。これが現在の泉町集会所となっています。その後、横浜の信徒であった塚本五郎が八王子に移住し、自宅を提供したことから、テストウィードは彼らの家に滞在し、八王子を頻繁に訪れるようになりました。1884年（明治17年）には八日町に家を借りて伝道士を住まわせ、そこを拠点に八王子での宣教を本格化させました。そして1889年（明治22年）には三崎町に礼拝堂が完成し、これが現在の八王子教会となっています。

1890年（明治23年）に過労で倒れ八王子を離れるまで、テストウィードの宣教活動は続けられました。

神山復生病院の設立

1880年（明治13年）より、テストウィードは西関東や東海道沿いの地域での宣教を担当し、その範囲は愛知・岐阜県にまで及びました。1884年（明治17年）には静岡市鷹匠町に布教所を設立し、そこを拠点に藤枝・浜松方面を巡回し、1885年（明治18年）には沼津にも布教所を設立しました。

この巡回伝道の途上、足柄街道沿いの水車小屋で盲目のハンセン病を患う女性に出会ったことが、療養所設立を決意するきっかけとなりました。1883年（明治16年）の春、御殿場の鮎沢村（現在の御殿場市新橋）に家を借り、6名の患者を収容しました。薬はモロカイ島でハンセン病患者の世話をしていたヨセフ・デ・ブーステル司祭から提供を受け、彼の紹介でハンセン病治療医の後藤昌直と知り合い、新薬を分けてもらいました。

1888年（明治21年）、静岡県駿東郡富士岡村字神山（現在の御殿場市）に土地を購入し、翌1889年（明治22年）5月に新たな診療所を設立し、20名の患者を収容しました。テストウィードは上司に診療所の設立許可を願う際、「らい患者が現世の苦しみによって永遠の生命を得ることができたら、苦しみもまた幸せとなるでしょう。そのために病院を建て、そのことを教えたいと思います。こうして彼らは肉体の救いとともに魂の救いを得ると思います」と説明しました。彼はこの診療所に「主における復活」の意味を込めて「神山復生病院」と名付け、これが日本初のハンセン病療養所となりました。

死去

1891年（明治24年）5月下旬に体調を崩したテストウィードは、治療のため6月2日に香港の宣教師療養所ベタニアの園に到着しました。6月5日にミサを立てましたが、これが最後のミサとなりました。6月25日に医師から胃癌と診断され、その後回復することなく8月4日に息を引き取りました。

ジェルマン・レジェ・テストウィードの生涯は、困難な状況の中で人々に寄り添い、愛と希望を届けた宣教師の模範として、今も多くの人々に感銘を与え続けています。

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