ジェームズ・ブリッジス (初代シャンドス公爵)
ジェームズ・ブリッジス、初代シャンドス公爵は、1674年1月6日に第8代シャンドス男爵ジェームズ・ブリッジスとエリザベス・バーナード夫妻の長男としてこの世に生を受けました。彼は輝かしい経歴を歩み、後に巨万の富と公爵位を得る人物となります。父の死去に伴い、1714年10月16日に第9代シャンドス男爵の爵位を継承。そのわずか3日後にはウィルトン子爵およびカーナーヴォン伯爵に叙され、さらに1719年4月29日にはカーナーヴォン侯爵を経て、最高位であるシャンドス公爵に陞爵しました。
ジェームズ・ブリッジスの教育は名門で積まれました。1686年にウェストミンスター・スクールで学び、1690年にはオックスフォード大学ニュー・カレッジに入学。その後、1692年から1694年までヴォルフェンビュッテル・アカデミーで研鑽を積み、後年にはインナー・テンプルで法律にも触れました。その学識は、1694年11月30日に王立協会フェローに選出されたことからも伺えます。
政治家としてのキャリアは、1698年のイングランド総選挙でヘレフォード選挙区から庶民院議員として当選したことから始まりました。彼は議会でトーリー党の一員として活動しました。特に彼の名を高め、財政的な基盤を築いたのは、スペイン継承戦争中に務めた海外陸軍支払長官のポストです（1705年5月10日～1713年9月4日）。この職務を通じて、彼は莫大な富を蓄積しました。
その豊かな財力を背景に、ブリッジス公爵は活発な投資活動を行いました。1711年には南海会社への投資を募り、1718年から1736年にかけてはレヴァント会社総裁を務めています。しかし、彼の投資は常に成功したわけではありません。1719年のミシシッピ会社や、悪名高き南海泡沫事件では大きな損失を被りました。
ブリッジス公爵の豪奢な生活を象徴するのが、ミドルセックスのエッジウェアに巨費を投じて建設された壮大な邸宅「キャノンズ」です。この邸宅建設には、当時の著名な建築家たちが次々と招聘されました。1713年にウィリアム・タルマンに依頼したものの、翌年には彼を解雇しジョン・ジェームズに交代させました。しかし、1715年にはさらにジェームズ・ギブスを起用し、最終的にはジョン・プライスとエドワード・シェパードの監督のもと、1725年までに完成を見ました。ギブスは特に南側と東側の立面、そして礼拝堂の設計を手掛けたとされています。しかし、この輝かしい邸宅も長くは続かず、ブリッジス公爵の死後、爵位を継いだ次男ヘンリーによって財政難から1747年に取り壊されてしまいました。現在、その跡地はキャノンズ・パークとして残っています。
公職では、1721年から1744年までヘレフォードシャーおよびラドノーシャーの統監を務め、地域の安定に貢献しました。また、1721年11月21日には枢密顧問官に任命され、国家の重要な決定に関わるようになりました。学術分野にも関心を持ち、1721年にはシャンドス医学解剖講座を創設し、1724年から1744年までセント・アンドルーズ大学名誉理事長を務めました。さらに、社会福祉にも目を向け、1739年に設立許可が下りた捨子養育院の初代総裁の一人として、その運営に尽力しました。
芸術のパトロンとしても知られ、特に音楽家ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルを1717年から1718年にかけてキャノンズに招き、彼の活動を支援しました。ヘンデルはキャノンズ滞在中にオラトリオ『エステル』やパストラル『エイシスとガラテア』を完成させ、またブリッジス公爵のために有名な『シャンドス・アンセム』を作曲しました。これらのアンセムはキャノンズの聖ローレンス教会で初演され、その際に使われたオルガンは今日でも現存しています。1719年には王立音楽アカデミー社への出資も行い、イギリス音楽界の発展に貢献しました。また、親族である後に提督となるジョージ・ロドニーのパトロンを務めるなど、広範な支援を行いました。
同時代の文化人との関係では、詩人アレキサンダー・ポープが彼の著作『バーリントンへの書簡』でブリッジス公爵を風刺したとされる一件がありました。公爵はこれに対し、ポープの弁明を受け入れたと言われています。一方、ジョナサン・スウィフトは彼の振る舞いを批判的に見ていました。
私生活では、3度結婚しています。最初の妻メアリー・レイクとの間に2人の息子をもうけましたが、長男ジョンは早世し、次男ヘンリーが爵位を継承しました。しかし、父の残した財産は大幅に減少しており、ヘンリーはキャノンズ邸を取り壊さざるを得ませんでした。2番目の妻カサンドラ・ウィラビー、3番目の妻リディア・キャサリン・ヴァン・ハッテンとは子供を授かりませんでした。ジェームズ・ブリッジスは1744年8月9日にキャノンズ邸でその生涯を閉じ、ウィットチャーチのシャンドス霊廟に埋葬されました。
初代シャンドス公爵ジェームズ・ブリッジスは、政治、経済、建築、芸術といった多岐にわたる分野でその影響力を発揮した人物であり、18世紀初頭のイギリス貴族の典型的な一人と言えるでしょう。彼の築いた富と文化的な功績は、同時代に大きな注目を集めました。
ジェームズ・ブリッジスの教育は名門で積まれました。1686年にウェストミンスター・スクールで学び、1690年にはオックスフォード大学ニュー・カレッジに入学。その後、1692年から1694年までヴォルフェンビュッテル・アカデミーで研鑽を積み、後年にはインナー・テンプルで法律にも触れました。その学識は、1694年11月30日に王立協会フェローに選出されたことからも伺えます。
政治家としてのキャリアは、1698年のイングランド総選挙でヘレフォード選挙区から庶民院議員として当選したことから始まりました。彼は議会でトーリー党の一員として活動しました。特に彼の名を高め、財政的な基盤を築いたのは、スペイン継承戦争中に務めた海外陸軍支払長官のポストです（1705年5月10日～1713年9月4日）。この職務を通じて、彼は莫大な富を蓄積しました。
その豊かな財力を背景に、ブリッジス公爵は活発な投資活動を行いました。1711年には南海会社への投資を募り、1718年から1736年にかけてはレヴァント会社総裁を務めています。しかし、彼の投資は常に成功したわけではありません。1719年のミシシッピ会社や、悪名高き南海泡沫事件では大きな損失を被りました。
ブリッジス公爵の豪奢な生活を象徴するのが、ミドルセックスのエッジウェアに巨費を投じて建設された壮大な邸宅「キャノンズ」です。この邸宅建設には、当時の著名な建築家たちが次々と招聘されました。1713年にウィリアム・タルマンに依頼したものの、翌年には彼を解雇しジョン・ジェームズに交代させました。しかし、1715年にはさらにジェームズ・ギブスを起用し、最終的にはジョン・プライスとエドワード・シェパードの監督のもと、1725年までに完成を見ました。ギブスは特に南側と東側の立面、そして礼拝堂の設計を手掛けたとされています。しかし、この輝かしい邸宅も長くは続かず、ブリッジス公爵の死後、爵位を継いだ次男ヘンリーによって財政難から1747年に取り壊されてしまいました。現在、その跡地はキャノンズ・パークとして残っています。
公職では、1721年から1744年までヘレフォードシャーおよびラドノーシャーの統監を務め、地域の安定に貢献しました。また、1721年11月21日には枢密顧問官に任命され、国家の重要な決定に関わるようになりました。学術分野にも関心を持ち、1721年にはシャンドス医学解剖講座を創設し、1724年から1744年までセント・アンドルーズ大学名誉理事長を務めました。さらに、社会福祉にも目を向け、1739年に設立許可が下りた捨子養育院の初代総裁の一人として、その運営に尽力しました。
芸術のパトロンとしても知られ、特に音楽家ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルを1717年から1718年にかけてキャノンズに招き、彼の活動を支援しました。ヘンデルはキャノンズ滞在中にオラトリオ『エステル』やパストラル『エイシスとガラテア』を完成させ、またブリッジス公爵のために有名な『シャンドス・アンセム』を作曲しました。これらのアンセムはキャノンズの聖ローレンス教会で初演され、その際に使われたオルガンは今日でも現存しています。1719年には王立音楽アカデミー社への出資も行い、イギリス音楽界の発展に貢献しました。また、親族である後に提督となるジョージ・ロドニーのパトロンを務めるなど、広範な支援を行いました。
同時代の文化人との関係では、詩人アレキサンダー・ポープが彼の著作『バーリントンへの書簡』でブリッジス公爵を風刺したとされる一件がありました。公爵はこれに対し、ポープの弁明を受け入れたと言われています。一方、ジョナサン・スウィフトは彼の振る舞いを批判的に見ていました。
私生活では、3度結婚しています。最初の妻メアリー・レイクとの間に2人の息子をもうけましたが、長男ジョンは早世し、次男ヘンリーが爵位を継承しました。しかし、父の残した財産は大幅に減少しており、ヘンリーはキャノンズ邸を取り壊さざるを得ませんでした。2番目の妻カサンドラ・ウィラビー、3番目の妻リディア・キャサリン・ヴァン・ハッテンとは子供を授かりませんでした。ジェームズ・ブリッジスは1744年8月9日にキャノンズ邸でその生涯を閉じ、ウィットチャーチのシャンドス霊廟に埋葬されました。
初代シャンドス公爵ジェームズ・ブリッジスは、政治、経済、建築、芸術といった多岐にわたる分野でその影響力を発揮した人物であり、18世紀初頭のイギリス貴族の典型的な一人と言えるでしょう。彼の築いた富と文化的な功績は、同時代に大きな注目を集めました。
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