ジブチ共和国における自衛隊拠点

ジブチ共和国における自衛隊拠点

ジブチ共和国の首都ジブチに位置する自衛隊の海外拠点は、ジブチ国際空港の敷地内にあります。この拠点は、ソマリア沖・アデン湾で頻発していた海賊被害に対処するため、2011年7月に自衛隊初の海外拠点として開設されました。現在、約400名の自衛官が派遣されており、海賊対処活動や周辺地域の安定化に貢献しています。

概要

この拠点には、主に以下の部隊が派遣されています。

派遣海賊対処行動航空隊（DAPE）: 海上自衛隊の部隊で、P-3C哨戒機1機と整備補給隊で構成されています。ジブチ国際空港を拠点に、海賊監視や情報収集活動を行っています。
派遣海賊対処行動支援隊（DGPE）: 海上自衛隊と陸上自衛隊の統合部隊で、ジブチ国際空港を拠点に活動しています。海上自衛隊員約30名と、軽装甲機動車などを装備した陸上自衛隊員約80名が参加し、基地の運営や警備を担当しています。陸上自衛官は、砂漠に適した迷彩服を着用しています。

また、航空自衛隊のC-130輸送機が、人員や物資の輸送を支援しています。隊員は基本的に4ヶ月ごとに交代します。

施設

基地内の宿舎は個室で、エアコンが完備されています。その他、日本式の大浴場や、厚生棟、体育館、ジムなどの施設もあります。隊員が日本にいる家族と連絡を取れるように、電話やインターネット設備も整備されています。

経緯

当初、航空隊は米軍のキャンプ・レモニエを拠点としていましたが、駐機場までの移動に時間がかかり、夏には気温が50度を超える環境で整備を行う必要がありました。そのため、ジブチ政府から空港内の12ヘクタールを借り受け、整備用格納庫、宿舎、駐機場などを整備することになりました。2011年6月1日には、自衛隊初の恒久的な海外基地が開設されました。

2014年7月には、派遣部隊の再編が行われ、派遣海賊対処行動支援隊（DGPE）が新設されました。2017年には、さらに3ヘクタールが追加で借り上げられ、基地面積は合計15ヘクタールとなっています。

この拠点の開設には、海賊対処だけでなく、中国の海洋進出を牽制し、シーレーンを確保する目的があるとの指摘もあります。中国人民解放軍海軍も、2017年にジブチに初の海外基地を建設し、海賊対策任務を行っています。この基地は、中国の「真珠の首飾り」戦略の重要な拠点とされています。

2023年には、スーダンやイスラエルで発生した武力衝突の際、邦人輸送の拠点として活用されました。

不祥事・問題

2017年には、基地の業務委託企業で、ジブチ人労働者の解雇を巡る労働争議が発生しました。この際、自衛隊員がジブチ人労働者を装甲車や銃で威嚇したと報じられましたが、防衛省は事実無根と否定しています。

脚注

関連項目

第151合同任務部隊
ソマリア沖海賊の対策部隊派遣（日本）
アタランタ作戦（欧州連合等）
清海部隊（大韓民国）
中華人民共和国のソマリア沖海賊対策
ロシアのソマリア沖海賊対策
在スーダン共和国邦人等輸送統合任務部隊
在イスラエル国邦人等輸送統合任務部隊
日本とジブチの関係
在ジブチ日本国大使館
日本ジブチ地位協定
中国人民解放軍駐ジブチ保障基地

外部リンク

ソマリア沖・アデン湾における海賊対処 - 防衛省・自衛隊
ソマリア沖・アデン湾における海賊対処 - 統合幕僚監部
* 海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律 - e-Gov法令検索

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