ジプシー・ジョー

ジプシー・ジョー：ハードコア・レスリングのレジェンド

ジプシー・ジョー（本名：ジルベルト・ペペ・メレンデス、1933年12月2日 - 2016年6月15日）は、プエルトリコ生まれのプロレスラーとして、世界中のプロレスファンにその名を轟かせました。小柄な体格ながら、並外れたタフネスと激しいファイトスタイルで知られ、特にアメリカ合衆国テネシー州を拠点に活躍したラフファイターとして名を馳せました。晩年には、ハードコア・レスリングのレジェンドとして再評価され、その激しくも華麗なキャリアは多くのプロレスファンを魅了し続けています。

激動のキャリア：アメリカから日本へ

少年時代をニューヨークで過ごしたジョーは、プロ野球選手を目指してフロリダでトマト農園で働くなど、プロレスラーになる前にも様々な経験を積みました。1963年、ペペ・フィゲロアというリングネームでプロレスラーデビューを果たすと、その後は北米各地を転戦。テネシー州のNWAミッドアメリカ地区では、フランク・マルティネスとタッグチーム「ブルー・インフェルノス」を結成し、数々のタイトルマッチを戦い抜きました。この頃には、星野勘太郎&山本小鉄組といった日本のトップレスラーとも対戦しています。

その後、テキサス州ダラス地区やカナダのモントリオール地区などでも活躍。メキシコではアズテック・ジョーとして、そしてジプシー・ジョーとしてカナダ、そして日本へと活躍の場を広げました。1974年にはマッドドッグ・バションからGPWヘビー級王座を奪取するなど、その実力を世界に示しました。

国際プロレスでの活躍と伝説の金網デスマッチ

1975年、国際プロレスに初来日したジョーは、その圧倒的な存在感を示しました。マイティ井上との金網デスマッチや、ラッシャー木村とのIWA世界ヘビー級選手権など、数々の激闘を繰り広げ、金網最上段からのダイビング・ニー・ドロップは彼の代名詞となりました。剛竜馬との金網デスマッチも記憶に新しいところです。国際プロレス崩壊後も全[[日本プロレス]]に参戦し、ジャンボ鶴田やミル・マスカラスらと対戦。ジュニアヘビー級戦線でも活躍し、大仁田厚や井上が保持していたNWAインターナショナル・ジュニアヘビー級王座にも挑戦しました。

アメリカでの活躍とハードコア・レスリング

アメリカでは独立系の団体を中心に活躍。テネシー州では1960年代後半から1980年代前半にかけて、NWA世界ブラスナックル王座を獲得するなど、その名を不動のものにしました。CWAではジミー・ハート率いるヒール軍団「ファースト・ファミリー」の一員として、ジェリー・ローラーや多くのスター選手らとの流血試合を繰り広げました。

また、国際プロレスの選手招聘にも携わり、ポール・エラリングなどの来日を実現させたなど、裏方としても活躍しました。1991年にはUSWAで復帰し、USWA認定ジュニアヘビー級王座を獲得。W★INGにも参戦し、1993年には高杉正彦との引退試合を行いました。その後も各地のインディー団体で活躍を続け、2010年には77歳にして来日し、SMASHでTAJIRIと対戦。2011年に現役引退しました。

レジェンドの晩年と功績

2013年には病気のため右足を切断するも、医療費を集めるためのベネフィット・ショーを開催するなど、最後までプロレスラーとしての魂を燃やし続けました。2016年、82歳でその生涯を終えました。

ジョーはリング上では徹底したクレージーファイターでしたが、プライベートでは温厚な人柄で知られていました。子供たちとフランクフルトを食べる姿や、「カツ丼」好きなど、人間味あふれる一面も持ち合わせていました。そのタフネスは、相手選手の手を腫れ上がらせるほどで、会場の備品を破壊するほどの激しいファイトスタイルは、国際プロレスの経費を圧迫するほどでした。しかしながら、ジャイアント馬場からはそのプロ根性を高く評価されていました。

ジプシー・ジョーは、その類まれなタフネスと激しいファイトスタイル、そして温厚な人柄で、多くのプロレスファンに愛され、記憶されるレジェンドとなりました。彼の残した功績は、これからもハードコア・レスリングの歴史に刻まれ続けるでしょう。

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