ジャムグン・コントゥル・ロドゥ・タイェ

ジャムグン・コントゥル・ロドゥ・タイェ：リメ運動の偉大な指導者

ジャムグン・コントゥル・ロドゥ・タイェ（1813-1899）は、チベット仏教の全宗派から「リメ（超宗派）運動」の偉大な指導者の一人として広く認められています。彼は、グル・リンポチェ（パドマサンバヴァ）の25人の主要な弟子の一人、偉大な翻訳者であるヴァイローツァナの化身、または文殊菩薩の化身と見なされています。多くの相承系統の学問と実践を統合したことで知られ、その集大成として主著『ズゥチェン・ンガ（五大宝蔵）』を著しました。

生涯

1813年、東チベットのロンギャプの隠れ谷で生まれたジャムグン・コントゥルは、幼少の頃から読み書きを学び、10歳頃から宗派にとらわれず広範な学問に励みました。シェチェン僧院のギュルメ・トゥトブ・ナムギャル（ニンマ派）、タイ・シトゥ・ペマ・ニンチェ・ワンポ（カギュー派）、ジャムヤン・キェンツェ・ワンポ（サキャ派）など、様々な伝統の精神的な指導者から教えを受けました。

五明処（声明、因明、工巧明、医方明、内明）を深く探求し、聞・思・修を実践しました。顕教と密教、カマとテルマ、新訳派と旧訳派の灌頂、解説、助言、口伝を授けることで、仏法を広めることに生涯を捧げました。87歳で没し、その応身は空性へと帰入しました。

三人の阿闍梨

ジャムグン・コントゥル・ロドゥ・タイェ、チョギュル・デチェン・リンパ、ジャムヤン・キェンツェ・ワンポは、「混ぜ合わされた心」として互いに親交があり、リメ運動の指導者として知られる偉大な三人のラマでした。ジャムグン・コントゥルは、チョギュル・リンパとキェンツェ・ワンポによって、ヴァイローツァナの真正な化身として認定されました。彼らは相互に師であり弟子でもあったため、各々の教えとテルマの相承系統は、他の二人のラマによって護持されました。彼らの相互協力の結果、仏法と一切有情に対する貢献は、天空に昇る太陽のように輝きました。彼らの比類なき悟りと事業は、宗派的な偏見を超越したリメのラマとして、チベット、そして世界中にその名を知らしめ、多くの人々に利益と霊感を与え続けています。

『ズゥチェン・ンガ（五大宝蔵）』

ジャムグン・コントゥルは、弟子たちを指導するために、『ズゥチェン・ンガ（五大宝蔵）』として知られる90巻にも及ぶ論文集を著しました。これは、以下の五つの主要な蔵で構成されています。

1. 『シェチャ・クンキャプ・ズゥ（知識宝蔵）』: 顕教と密教の基・道・果を明瞭に説き、一般的な科学からゾクチェン・アティ・ヨーガに至るまでの道を網羅しています。
2. 『ダムガク・ズゥ（口訣宝蔵）』: 最も深遠な灌頂と八大相承系統に属する口訣を集めたものです。
3. 『カギュー・ガクズゥ（カギュー密咒宝蔵）』: マンダラ儀軌、灌頂、口訣を編纂したもので、ニンマ派のカマに由来するものや、マルパとゴクパによるカギュー派のタントラ体系を含みます。
4. 『リンチェン・テルズゥ（大宝伏蔵）』: ニンマ派の膨大なテルマ（埋蔵経）から精髄を抽出したものです。
5. 『ギャチェン・カズゥ』
a) （珍宝蔵）：彼自身が発見したテルマの独特で秘密の宝。
b) （教戒広宝蔵）：薬学、科学など関連する著作、讃嘆、助言を含む。

化身

ジャムグン・コントゥルの没後、5人の化身が現れたとされています。

カース・コントゥル・パルデン・ケンツェ・ウーセル (1904-1952)
ズィガー・コントゥル・ロドゥ・ラブペル (1901?-c.1958)
シェチェン・コントゥル・ペマ・ディメ・レクペ・ロドゥ (1901-c.1960)
ゾクチェン・コントゥル・ギュルメ・クンチョク・ギャルツェン (1901?-?)
[カル・リンポチェ]

師と弟子

ジャムグン・コントゥルは、多くの重要な人物から教えを受け、また多くの弟子を育成しました。

主な師:

14世カルマパ・テクチョク・ドルジェ (1798-1868)
9世タイ・シトゥ・ペマ・ニンチェ・ワンポ (1774-1853)
チョギュル・デチェン・リンパ (1829–1870)
ジャムヤン・キェンツェ・ワンポ (1820–1892)

主な弟子:

15世カルマパ・カキャブ・ドルジェ (1871-1922)
チョギュル・デチェン・リンパ (1829–1870)
ジャムヤン・キェンツェ・ワンポ (1820–1892)

ジャムグン・コントゥル・ロドゥ・タイェは、その広範な知識、実践、そしてリメ運動への貢献により、チベット仏教史上において重要な位置を占めています。彼の著作は、現代においても多くの人々に学びとインスピレーションを与え続けています。

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