ジュナーガド

ジュナーガド：インドとパキスタンの間で揺れ動いた都市の歴史

ジュナーガドは、インドの西グジャラート州南部に位置する歴史都市です。グジャラート語ではジュナーガド、ヒンディー語ではジューナーガルと呼ばれ、その歴史は幾多の勢力争いと領土問題に彩られています。

古代からの歴史とラージプート支配

ジュナーガドは古くから集落が存在した土地で、15世紀にはラージプートと呼ばれるインドの戦士階級が勢力を伸ばし、この地を拠点としました。その後、16世紀にはムガル帝国の支配下に置かれますが、独立を志向する動きは絶えませんでした。

ムハンマド・バハードゥル・ハーンによる独立とイギリス保護国へ

1748年、パシュトゥーン人のムハンマド・バハードゥル・ハーンは、ムガル帝国のアフマダーバード知事の支配から脱し、ジュナーガドの独立を勝ち取ります。彼は新たな藩王国を築き上げ、独自の支配体制を確立しました。しかし、1807年、この藩王国はイギリスと軍事保護条約を締結し、イギリス保護国となりました。この条約によってジュナーガドは名目上は独立を保ちつつ、イギリスの強い影響下で政治運営を行うことになります。

インド・パキスタン分離独立と帰属問題

1947年、インドとパキスタンが分離独立を果たすと、ジュナーガドの帰属問題が大きな争点となりました。当時の支配者であるムスリムのムハンマド・マハーバト・ハーン3世は、インドへの帰属かパキスタンへの帰属か、決定を下すことができませんでした。最終的に、住民の大部分がヒンドゥー教徒であったにもかかわらず、1947年9月15日、彼はパキスタンへの帰属を宣言しました。

この宣言はインド政府にとって容認できないものでした。インド政府は、パキスタン領がグジャラート州に飛び地として存在することを望まず、1947年11月9日、インド軍はジュナーガドを軍事占領しました。その後、1948年2月14日、住民投票が行われ、翌15日にインドへの帰属が決定しました。ヒンドゥー教徒が多数を占めていたことが、この結果に大きく影響したと考えられます。

しかし、インドとパキスタンの国境線は、カシミール問題など未解決の問題を抱えているため、パキスタンはジュナーガドのインドへの併合を現在も正式には認めていません。パキスタン国内の一部地図では、ジュナーガドはパキスタン領として表示されているケースもあります。この領有権問題は、両国間の歴史的な対立を象徴する問題の一つであり、現在に至るまで解決されていません。

地理と気候

ジュナーガドは、グジャラート州のラージコートから南南西におよそ90キロメートル、ギルナール丘陵の西麓に位置しています。この地域は、乾燥した気候に特徴づけられ、年間を通して気温の変化が大きいです。農業が盛んな地域でもあり、ジュナーガド農業大学も存在します。

結論

ジュナーガドの歴史は、インドとパキスタンの複雑な関係、そして民族と宗教の対立を鮮やかに映し出しています。その帰属問題は解決されておらず、現在もインドとパキスタンの間の懸念事項として残されています。この都市の運命は、インドとパキスタンの歴史、そして両国の未来に深く関わっています。

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