ジョナサン・ボイド

ジョナサン・ボイド：狂乱のヒールからマネージャーへ

ジョナサン・ボイド（Jonathan Boyd, 本名：ジョナサン・バリー・ボイル）は、1944年10月21日（または1942年）にオーストラリアで生まれ、1999年8月7日に心臓発作で亡くなったプロレスラーです。そのキャリアは、オーストラリアから北米へと広がり、ヒールとしての狂乱ファイトと、ロイヤル・カンガルーズでの活躍で記憶されています。

オーストラリアでのデビューとアメリカへの進出

ジョニー・ボイドというリングネームで、1960年代にオーストラリアのワールド・チャンピオンシップ・レスリングでデビュー。ニック・ボックウィンクル、ドリー・ファンク・ジュニアといった強豪たちと対戦し、キャリアを積みました。

1970年にアメリカへ渡り、NWAトライステート地区を経て、1971年からはパシフィック・ノースウエスト・レスリング（PNW）を拠点に活動。ここで、同じくオーストラリア出身のノーマン・フレデリック・チャールズ3世と出会い、「ロード・ジョナサン・ボイド」と名乗り、ロイヤル・カンガルーズを結成します。英国貴族ギミックのチャールズと、ファビュラス・カンガルーズにあやかったヒールタッグとして、観客を沸かせました。

ロイヤル・カンガルーズとしての活躍と日本での試合

1970年代、ボイドはチャールズとのコンビでPNWを主戦場とし、NWAパシフィック・ノースウエスト・タッグ王座を何度も獲得。ダッチ・サベージ&ジミー・スヌーカ、ブル・ラモス&ジェシー・ベンチュラなどの強豪チームを打ち破りました。ノースカロライナ、ジョージア、カルガリーなど、各地のタッグ王座も獲得し、サンフランシスコではパット・パターソン&トニー・ガレア、バリアント・ブラザーズとNWA世界タッグ王座を争いました。

日本へは、1974年2月に新日本プロレスの『ビッグ・ファイト・シリーズ』にロイヤル・カンガルーズとして参戦。アンドレ・ザ・ジャイアントのパートナーとしてアントニオ猪木とも対戦しました。1976年1月には全日本プロレスの『新春ジャイアント・シリーズ』に再来日し、ジャイアント馬場、ジャンボ鶴田、ザ・デストロイヤーらと対戦しています。

ロイヤル・カンガルーズ解散後

1978年にチャールズがPNWを離れ、ロイヤル・カンガルーズは解散。ボイドはベビーフェイスに転向し、エド・ウィスコスキーやロディ・パイパーとNWAパシフィック・ノースウエスト・ヘビー級王座を争いました。その後、ヒールに戻り、1981年にはザ・シープハーダーズに加入。ルーク・ウィリアムスとのタッグで活躍しました。

アラバマのSECW、テネシー州メンフィスのCWA、テキサス州サンアントニオのSCWなど、各地を転戦し、タッグ王座を奪取。1983年には交通事故で足を骨折しますが、マネージャーとしてコモンウェルス・アーミーを組織し、反米ユニットを率いました。

1985年にはリングに復帰し、リップ・モーガンとキーウィ・シープハーダーズを結成。AWA南部タッグ王座を巡り、因縁のファビュラス・ワンズと抗争を繰り広げました。1988年にはNWAアラバマ・ヘビー級王座を獲得し、1989年に現役を引退しました。

引退後と死

引退後は静かに過ごし、1999年8月7日、心臓発作により54歳で生涯を閉じました。

ジョナサン・ボイドは、ヒールとしての悪役ぶりと、タッグマッチでの活躍で、多くのプロレスファンに記憶されるレスラーです。

獲得タイトル

NWAパシフィック・ノースウエスト・ヘビー級王座：3回
NWAパシフィック・ノースウエスト・タッグ王座：6回
NWAミッドアトランティック・ブラスナックルズ・タッグ王座：1回
ASWAジョージア・タッグ王座：2回
NWA世界タッグ王座（サンフランシスコ版）：1回
インターナショナル・タッグ王座：1回
NWAアメリカス・タッグ王座：1回
AWA南部タッグ王座：7回
SCWサウスウエスト・タッグ王座：2回
NWAアラバマ・ヘビー級王座：1回
NWAサウスイースタン・タッグ王座：1回
ICWヘビー級王座：1回

もう一度検索