ジョルディ・ジェネ

ジョルディ・ジェネ：輝かしいキャリアを彩る数々のレース

ジョルディ・ジェネ（Jordi Gené Guerrero、1970年12月5日生まれ）は、スペイン・カタルーニャ州サバデル出身のベテランレーシングドライバーです。日本においては「ホルディ・ヘネ」と呼ばれることも多いようです。F1ドライバーとして活躍したマルク・ジェネは実兄にあたります。

華々しいキャリアの始まり：カートからフォーミュラへの挑戦

ジェネのキャリアは1986年、スペインカート選手権制覇という輝かしいスタートを切りました。その後、四輪レースへとステップアップすると、その才能はすぐに開花します。1987年にはスペインのフィアット・ウーノ選手権、翌1988年にはフォーミュラ・フォード・スペイン選手権で優勝を飾りました。

1989年にはイギリスへと渡り、フォーミュラ・フォード・イギリス選手権に挑戦。フォーミュラ・フォード・フェスティバルでは4位という好成績を収めます。その後、イギリスF3へと進出し、1991年にはラルト・ホンダを駆りランキング4位を獲得。同年のタイトルを獲得したのはチームメイトのルーベンス・バリチェロでした。この年にはマルボロ・マスターズ、マカオグランプリ、インターナショナルF3リーグなど、数々の国際レースにも出場し、富士スピードウェイで行われたインターナショナルF3リーグでは、デビッド・クルサードを破り優勝を掴みました。

国際F3000への挑戦とF1への扉

マールボロの支援を受け、1992年には国際F3000選手権に参戦。パシフィック・レーシングからレイナード・無限を駆り、デビュー戦であるシルバーストンでの開幕戦を勝利で飾りました。シーズン全体でもランキング5位という好成績を残しました。

翌1993年には、スペインのF1チーム「ブラヴォF1」のプロジェクトに関わりますが、このプロジェクトは頓挫してしまいます。そのため、ジェネは再びF3000へと復帰。トム・ウォーキンショー・レーシングジュニアチームに所属しましたが、思うような結果を残せませんでした。しかし、ここでチームオーナーのトム・ウォーキンショーと親交を深めたことが、後のF1への道を開く重要な転機となります。

1993年末にはベネトンのテストドライバーとしてF1マシンB193のテストドライブを行う機会を得ます。このテストでのタイムは、同じマシンをテストしたミケーレ・アルボレートと同等だったことから、複数のF1チームから契約のオファーが舞い込んできました。しかしジェネは、下位チームからの参戦ではなく、ベネトンというトップチームでのテストドライバー契約を選択しました。同時に、1994年も国際F3000選手権にフル参戦を継続しました。

ツーリングカーへの転身と数々のタイトル獲得

F1ドライバーとしての座を獲得することはできませんでしたが、ジェネは1995年にスペイン・ツーリングカー選手権への参戦を開始します。オペルワークスチームからオペル・ベクトラを駆り、初年度からランキング2位を獲得。翌年にはアウディに移籍し、5勝を挙げて選手権タイトルを獲得しました。

その後もツーリングカーレースの世界で活躍を続け、1998年にはヨーロッパ・トラックレーシングカップという珍しいカテゴリーに挑戦。2000年には再びレーシングカーレースに復帰し、ル・マン24時間レースにも参戦しました。2001年のル・マン24時間レースではクラス優勝、総合5位という素晴らしい成績を残しました。

2002年にはヨーロッパツーリングカー選手権（ETCC）に参戦し、BMWをドライブ。2004年にはセアトに移籍し、スペインGT選手権でもセアト・トレドを駆り年間チャンピオンを獲得しました。

ETCCが世界ツーリングカー選手権（WTCC）へと改組された2005年、スペイン・バレンシアでの最終戦で念願の初優勝を果たしました。その後もWTCCで活躍を続け、2010年まで参戦。その後はSTCC（スカンジナビアツーリングカー選手権）、TCRインターナショナルシリーズなどにも参戦し、2021年にはWTCR（世界ツーリングカーカップ）に参戦しました。

レジェンドとしての地位

ジョルディ・ジェネのキャリアは、カートから始まり、フォーミュラ、そしてツーリングカーと、多岐にわたるカテゴリーでの活躍によって彩られています。F1への夢を叶えることはできませんでしたが、その卓越したドライビングスキルと豊富な経験は、多くのレーシングファンに感動と興奮を与え続けました。彼の名前は、モータースポーツの歴史に刻まれた、真のレジェンドとして語り継がれていくでしょう。

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