ジョン・ハムデン

ジョン・ハムデンは、17世紀イングランドの激動期に生きた政治家であり、軍人でした。清教徒革命、すなわちイングランド内戦において、議会派の指導者として重要な役割を果たしました。彼は、オリバー・クロムウェルの従兄にあたり、その家系はバッキンガムシャーのジェントリでした。

ハムデンはオックスフォード大学と法曹院で学び、1621年には庶民院議員に選出されました。当時、国王チャールズ1世は議会との対立を深めており、戦費調達のために地主への強制的な公債貸付を試みました。これに対し、ハムデンは「マグナ・カルタを破る者に対する呪詛」を盾に抵抗し、一時的に幽閉されることとなります。しかし、この事件は彼の名を世に知らしめるきっかけとなりました。

釈放後もハムデンの活動は衰えることはありませんでした。国王が提案した船舶税に対し、彼はそれが国王の力を不当に強め、イングランドの自由を脅かすものだと主張しました。1636年には、この税が不法であると公然と非難し、国民の意識を高めるべく活動しました。彼は船舶税の支払いを拒否したため、政府に訴追され、裁判で有罪判決を受けます。しかし、この裁判はイングランド世論の焦点となり、ハムデンは国王への抵抗の象徴として認識されるようになりました。

1640年、短期議会が召集される直前、ハムデンはジョン・ピムとともにイングランド全土を遊説し、庶民院の組織化に尽力しました。長期議会が開かれると、彼はピムと並ぶ庶民院の指導者となり、ストラフォード伯トマス・ウェントワースの弾劾や、議会の大諫奏（大抗議文）の作成に大きく貢献しました。また、ハムデン事件の判決は破棄され、船舶税は非合法と宣告されました。

しかし、議会派の勢力拡大を警戒したチャールズ1世は、ハムデンら5人の議員を反逆罪で告発しました。1642年1月4日には、自ら庶民院に乗り込み逮捕を試みましたが、事前に逃げられてしまい、これにより、議会派と王党派の対立は決定的となりました。議会派は急進派（独立派）と穏健派（長老派）に分裂しましたが、ハムデンはピムとともに急進派を率いました。

内戦が始まると、ハムデンは議会軍の大佐に任命され、自らの故郷で兵士を徴募し、訓練を始めました。しかし、1643年6月18日、チャルグローヴ・フィールドの戦いで議会軍は敗北し、ハムデンは重傷を負い、その6日後に亡くなりました。彼の死後、ピムも病死しますが、彼らの遺志はクロムウェルに引き継がれ、鉄騎隊の結成など軍事改革が進められ、最終的に議会派が内戦に勝利することとなります。

ハムデンは、不当な権力に立ち向かい、自由と権利を守るために戦った人物として、イングランドの歴史に名を刻んでいます。彼の勇気と信念は、後の世代にも大きな影響を与えました。

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