ジョン・ハーヴェイ・ケロッグ

ジョン・ハーヴェイ・ケロッグ：シリアル食品の父と奇妙な健康法

ジョン・ハーヴェイ・ケロッグ（John Harvey Kellogg, 1852年2月26日 - 1943年12月14日）は、アメリカの医師であり、実業家です。彼は、菜食主義者であり、セブンスデー・アドベンチスト教会の信者でもありました。特に、シリアル食品「ケロッグ」の創業者の一人として、世界的にその名を知られています。

生涯と業績

ケロッグ博士は、ミシガン州バトルクリークにあるサナトリウムで、ホリスティック療法の実践や健康食、健康器具の開発・販売を行い、商業的に大きな成功を収めました。彼は、当時の健康ブームの火付け役とも言える存在で、喫煙と肺がんの関係が一般的に認識される前から、喫煙の健康被害を警告していました。

シリアル食品は、自慰の禁止と去勢を目的に作られた病人食のパン生地が、偶然乾燥してしまったことから生まれました。それを患者に与えたところ好評を得たため、コーンフレークとして販売するようになったという逸話があります。

ケロッグ博士が実践していた様々な健康器具や健康療法は、書物として残されています。その珍妙な健康法や、それに熱中する人々の様子は、実話を元にしたブラック・コメディ映画『ケロッグ博士（原題：The Road to Wellville）』(1994年)として映画化もされました。

1922年には社名をケロッグ社とし、「ケロッグ」はシリアル健康食品として爆発的に普及しました。シリアルは健康食品としてアメリカの朝食の定番となり、世界各国にも広まっていきました。1962年には日本法人も設立され、高度経済成長時代に健康朝食として大流行しました。

略歴

1852年にミシガン州で生まれたケロッグは、1875年に医学学位を取得。1876年にサナトリウムの館長に就任し、呼吸法、食事法（ベジタリアン）、浣腸といった独特の健康法を提唱・実践しました。また、禁欲主義からマスターベーションを禁忌し、性欲を抑えるさまざまな方法を説きました。コーンフレークを健康食として開発・宣伝したのも、その一環です。彼はまた、ピーナッツバターの発明者の一人でもあります。

弟のウィルとの間では、コーンフレークの製法を巡って対立がありましたが、最終的にウィルが独立し、後のケロッグ社を設立しました。植物の持つ自然の力に感銘を受け、そこに神を見出したケロッグの考え方は、次第に教会から汎神論的であると見なされるようになり、1907年には除名されました。

1879年に結婚しましたが、妻との間に子供はなく、1920年に妻が亡くなるまで、42人の孤児を育てました。晩年はフロリダで別のサナトリウムを設立し、健康アドバイザーとして執筆活動などをして過ごし、1943年に91歳で亡くなりました。

ホリスティック療法

ケロッグ博士が提唱したホリスティック療法には、電気コイル治療、高圧電気風呂、乗馬療法、喫煙・飲酒・セックスの禁止、子宮マッサージ治療、腸内洗浄など、多岐にわたるものがありました。中には医学的根拠に乏しいものも多く含まれていましたが、これらの療法の一部は、現在でも形を変えて健康サービス機関や医療機関で使用されています。

まとめ

ジョン・ハーヴェイ・ケロッグは、シリアル食品の父としてだけでなく、ユニークな健康法を提唱した人物として、その名が記憶されています。彼の生涯は、健康と商業、そして宗教が複雑に絡み合った、興味深い物語として語り継がれています。

関連項目
ケロッグ (企業)
日本ケロッグ
* 健康食品

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