ジョン・D・カーマック

ジョン・D・カーマック：ゲーム業界を革新した伝説のプログラマー

ジョン・D・カーマック（John D. Carmack II）は、1970年8月20日生まれのアメリカ人プログラマー、ゲームクリエイター、そしてエンジニアです。彼は、id Softwareの共同設立者として、コンピュータゲーム史に残る数々の名作を生み出し、特に一人称視点シューティングゲーム（FPS）ジャンルの確立に大きく貢献しました。

幼少期と初期のキャリア

カーマックは、カンザスシティの都市部で育ち、幼い頃からコンピュータに強い関心を持っていました。シャウニー・ミッション・イースト高校に進学後、14歳でApple IIを盗んだとして逮捕されるという事件も経験しています。大学には進学したものの、プログラマーとしての道を選ぶため中退しました。

ルイジアナ州のSoftdisk社に就職したことが、彼のキャリアの転換点となりました。そこで、後のid Softwareの主要メンバーとなるジョン・ロメロ、エイドリアン・カーマックと出会い、ゲーム開発チームの一員として活動を始めます。Softdisk在籍中に『Commander Keen』を開発し、Apogee Softwareから発売、シェアウェアとして配布されました。その後、カーマックはSoftdiskを離れ、id Softwareを共同設立することになります。

id Softwareでの活躍

id Softwareでは、『Wolfenstein 3D』『Doom』『Quake』などの主任プログラマーを務め、これらの作品はFPSジャンルの礎を築く上で重要な役割を果たしました。彼は、革新的なグラフィックス技術の開発にも熱心に取り組みました。例えば、Binary space partitioningを初めてゲームに採用したのが『Doom』であり、Surface cachingを『Quake』で発明しました。また、シャドウボリューム用のカーマックのリバースアルゴリズムも開発しました（後に、独自に発見したことを認めています）。彼の技術は、他の多くのゲーム開発者にも影響を与え、『ハーフライフ』『コール・オブ・デューティ』『メダル・オブ・オナー』といった有名タイトルにも利用されています。

Oculusへの転身とAGI研究

2013年、カーマックはOculus VR社（現Meta）のCTOに就任し、VR技術の開発に尽力しました。その後、顧問CTOを経て、2022年12月にMetaを退社しています。Meta退社後は、自身が設立したAI研究スタートアップ企業「Keen Technologies」で、汎用人工知能（AGI）の研究開発に注力しています。

オープンソースソフトウェアへの貢献

カーマックは、オープンソースソフトウェアの支持者としても知られています。ソフトウェア特許に反対しており、『Wolfenstein 3D』、『Doom』、『Quake』などのソースコードを公開しました。これにより、コミュニティによる移植や改良が促進され、ゲーム開発の進歩に貢献しました。

アルマジロ・エアロスペース

2000年頃からは、ロケット開発にも興味を持ち、アルマジロ・エアロスペース社を設立しました。この会社では、ロケット技術の開発を行い、NASAのコンテスト「ルナー・ランダー・チャレンジ」で優勝するなど、その技術力を証明しました。

人物像

カーマックは、開発中のゲームの発売日を明言することを避ける傾向があり、「完成したら発売する」という姿勢を貫いていました。また、他のプログラマーの努力を称賛することもあり、ケン・シルバーマンやティム・スウィーニーの才能を認めています。無神論者であり、ピザをこよなく愛する人物としても知られています。

結論

ジョン・D・カーマックは、コンピュータゲーム業界に多大な影響を与えた偉大なプログラマーであり、その技術的な功績は数え切れません。彼の開発したゲームや技術は、後のゲーム開発に大きな影響を与え、現在もなお多くのゲームファンに愛され続けています。また、VRやAIの研究にも積極的に取り組むことで、テクノロジーの進化に貢献し続けています。

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