ジョーンズバラの戦い

ジョーンズバラの戦い：アトランタ陥落への決定的な一戦

ジョーンズバラの戦いは、南北戦争におけるアトランタ方面作戦のクライマックスとして、1864年8月31日から9月1日にかけてジョージア州クレイトン郡で繰り広げられました。北軍のウィリアム・シャーマン少将は、アトランタを守る南軍のジョン・ベル・フッド将軍率いるテネシー軍を、アトランタ市から引き離し、壊滅させることを目指しました。

戦いの背景

アトランタ方面作戦において、シャーマンはこれまでも南軍の補給線を一時的に遮断することに成功していましたが、南軍は迅速に復旧していました。そこでシャーマンは、メイコン・アンド・ウェスタン鉄道とアトランタ・アンド・ウェストポイント鉄道という南軍の主要な補給線を完全に遮断することができれば、南軍はアトランタを放棄せざるを得なくなると考えました。この計画を実行するために、シャーマンは歩兵7個軍団のうち6個軍団を抽出し、南軍の補給線攻撃に向かわせました。

北軍は8月25日に陣地を出発し、ラフ・アンド・レディとジョーンズバラ間の鉄道を攻撃しました。対する南軍はウィリアム・J・ハーディ中将とその2個軍団を派遣し、北軍の動きを阻止しようとしました。しかし、フッドはシャーマン軍の大半がこの地域に移動しているとは認識しておらず、ハーディ軍は最初から兵力で劣勢でした。

戦闘の経過

8月31日

8月31日、北軍のオリバー・O・ハワード少将はフリント川東岸に2個軍団を配置しました。ジョン・A・ローガンの第15軍団はメイコン・アンド・ウェスタン鉄道に面した高台に塹壕を築き、トマス・E・G・ランサム率いる第16軍団はローガン軍団の右翼に繋がるように陣を敷きました。フランシス・プレストン・ブレア・ジュニアの第17軍団はフリント川西岸で予備隊となりました。

ハーディは2個軍団による攻撃を指揮する間、自身の軍団の指揮をパトリック・クリバーンに委ねました。クリバーンは南に移動してランサム軍の戦線を攻撃し、一方スティーブン・D・リーはローガン軍の戦線に対して攻撃を仕掛ける計画でした。クリバーンの師団は西へ移動し、北に転じたところで、ジャドソン・キルパトリックの騎兵隊に遭遇しました。キルパトリック隊はレールフェンスの陰に隠れ、スペンサー連発銃で武装しており、その強力な火力でクリバーン隊の突撃は崩壊しました。クリバーン隊は騎兵をフリント川の向こうまで押し返しましたが、川の西岸でジャイルズ・A・スミスの第17軍団の師団によって阻止されました。

一方、リーはクリバーン隊とキルパトリック隊の戦闘を本来の攻撃だと誤解し、クリバーン隊がランサム隊と戦闘を開始する前に攻撃を開始しました。リーは正面攻撃を命じ、J・パットン・アンダーソンが先頭に立って攻撃しましたが、アンダーソンは銃弾に倒れました。リーの部隊は多大な損害を出し撃退されました。ハーディは攻撃の再開を望みましたが、リーは部隊がその状態ではないと主張しました。この日の戦闘で南軍は、リー隊が1300人、クリバーン隊が400人という大きな損失を出しました。対して北軍の損失はわずか179人でした。

フッドはこの状況を把握し、アトランタ市への直接攻撃を恐れて、夜にハーディ軍からリーの軍団をアトランタの守備に就かせました。この配置が翌日の戦闘に大きな影響を与えることになりました。フッドは後に8月31日の戦闘を、戦死者の数が参戦した部隊に比して少なかったとして、「不名誉な戦闘」と呼びました。

9月1日

9月1日、シャーマンはジェファーソン・C・デイビスが率いる第14軍団に、ジョーンズバラの北で南軍の戦線を攻撃させました。しかし、北軍の援軍の移動に時間がかかりました。シャーマンはデイビッド・S・スタンリーの第4軍団を移動させることに尽力しましたが、その軍団はメイコン・アンド・ウェスタン鉄道の破壊に忙殺されていました。

ハーディは、ジョン・C・ブラウンの師団とクリバーンの師団をメイコン・アンド・ウェスタン鉄道に並行に配置し、唯一残った軍団で防御線を構築しました。ジョージ・マニーの師団はクリバーンの右翼に垂直に入り、鉄道を中心に突出部を形成しました。

午後4時までにスタンリー軍団が戦場に到着していなかったため、シャーマンはデイビスにクリバーンとマニーの部隊が作る突出部を攻撃するよう命じました。この突出部の頂点はダニエル・ゴバンの旅団が守っていました。デイビスはアメリカ正規軍旅団に最初の攻撃を先導させましたが、容易に撃退されました。次に、アブサロム・ベアードが中央、ジェイムズ・D・モーガンが左翼、ウィリアム・P・カーリンが右翼を担当し、3個師団すべてを攻撃に参加させました。ジョン・A・ローガンの第15軍団もデイビス隊の右手に移動しました。ベアードは自ら銃剣突撃を指揮し、これにより後に名誉勲章を受章しました。南軍は激しく抵抗しましたが、白兵戦の末、ベアード隊が戦線を突破し、ゴバンとその部隊600名を捕虜としました。デイビス隊の兵士たちがこの突破口になだれ込みました。そのころに、スタンリーの軍団がようやくデイビス隊の左翼に到着しました。南軍の残存部隊はラブジョイ駅まで秩序正しく撤退しました。

9月1日の夜、フッドはアトランタを明け渡し、弾薬や軍需物資の積まれた81両の貨車を破壊するよう命じました。その結果、発生した火災と爆発は数マイル離れた場所でも聞こえました。ヘンリー・W・スローカム将軍率いる北軍部隊は9月2日にアトランタ市を占領しました。

戦いの後

ジョーンズバラの戦いは、アトランタ方面作戦の最後の戦いとなり、包囲されていたアトランタ市は北軍の手に落ちました。9月4日、シャーマン将軍は特別現場命令第64号を発令し、部隊に対し、アトランタの敵軍を減らし、同市を占領するという目標を達成し、他のアメリカ軍と連携して新たな作戦を立てるまで、この地域を占領すると伝えました。アトランタの占領は、11月に行われたエイブラハム・リンカーン大統領の再選に貢献し、戦争の終結を早めることになりました。フッドは敗北した軍を率いてアトランタを離れ西へ移動したため、シャーマン軍の海への進軍が可能になりました。さらに、その後のフランクリン・ナッシュビル方面作戦では、フッドのテネシー軍そのものが事実上破壊されることになりました。

1872年、この戦いで亡くなった兵士の多くは、パトリック・R・クリバーン南軍墓地に改葬されました。

大衆文化における影響

1939年の映画『風と共に去りぬ』では、フッド軍が街を明け渡す際に軍需物資や施設の破壊を命じたことから発生したアトランタの大火災が描かれました。

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