スズキ・エンジン一覧

スズキのエンジン一覧

スズキは、軽自動車から大型車まで幅広い車種を製造する自動車メーカーであり、そのエンジンラインナップも多岐にわたります。スズキのエンジン製造における特徴として、OHV（オーバーヘッドバルブ）形式のエンジンを一度も製造していないこと、そして2ストロークエンジンの製造を比較的長期間継続したことが挙げられます。

概要

スズキが初めて製造した4ストロークエンジンは、1972年に登場したSOHC（シングルオーバーヘッドカム）のF8A型エンジンでした。その後も、他メーカーと比較して、自動車向け2ストロークエンジンの製造を長く続けた最後の日本のメーカーとなりました。

スズキは、小排気量エンジンに強みを持つ一方で、大排気量ガソリンエンジンやディーゼルエンジンは他社からのOEM供給やライセンス生産に依存する部分がありました。しかし近年では、他社との提携解消などの影響により、自社開発のエンジンも増えてきています。

エンジン形式

スズキが製造してきた主なエンジン形式は以下の通りです。

直列2気筒
直列3気筒
直列4気筒
V型6気筒

直列2気筒

スズキは、自動車事業の黎明期に多数の直列2気筒エンジンを製造しましたが、現在ではこの形式のエンジンは手がけていません。

スズライトSF系: 360cc空冷2ストロークエンジン。スズライトSF型などに搭載。
FB系: 359cc2ストロークエンジン。スズライトキャリイなどに搭載。
FE型/FE2型: 359cc空冷2ストロークエンジン。スズライトバンやフロンテなどに搭載。
L50型: 359cc水冷2ストロークエンジン。キャリイやフロンテなどに搭載。
L60型: 446cc水冷2ストロークエンジン。キャリイ（輸出専用）に搭載。
FC型（プロトタイプ）: 360cc2ストロークエンジン。試作車に搭載。

直列3気筒

直列3気筒エンジンは、2ストローク時代からスズキが得意とする形式で、1978年には4ストロークエンジンの投入も行われ、現在に至っています。スズキの4ストローク3気筒エンジンは、バランサーシャフトを持たないことが技術的な特徴で、これにより低フリクション化、低コスト化、軽量化を実現しています。

LC10型: 356cc空冷2ストロークエンジン。フロンテ360などに搭載。
LC10W型/LC20型: 356cc水冷2ストロークエンジン。フロンテクーペなどに搭載。
LC50型: 475cc空冷2ストロークエンジン。フロンテ500などに搭載。
T4A型: 443cc 2ストロークエンジン。フロンテ7-Sに搭載。
T5型/LJ50型: 539cc2ストロークエンジン。フロンテハッチやキャリイ、ジムニーなどに搭載。
F型エンジン: 0.5-0.8L。F5A型は、4気筒のF8A型を3気筒化したもの。アルトやキャリイ、ジムニーなどに搭載。
F8B型: 796ccエンジン。アルトなどに搭載。
F8C型: 796ccエンジン。F8Bの改良版。大宇・ティコなどに搭載。
F8D型: 796ccSOHC12バルブエンジン。マルチ・800などに搭載。
C10型: 785cc2ストロークエンジン。フロンテ800に搭載。
C20型: 1,100cc試作エンジン。フロンテ1100用に試作。
G10型/G10T型: 993ccエンジン。カルタスなどに搭載。
K型エンジン: 0.7-1.0L。K6A型はアルトやカプチーノ、ジムニーなどに搭載。
R型エンジン: 0.7L。R06A型はMRワゴンやアルトエコなどに搭載。

直列4気筒

スズキは1977年に直列4気筒エンジンの生産を開始しましたが、OHV方式を経ずにOHC方式のみを生産している点が特徴です。

F型エンジン: 0.7-1.1L。F6B型はセルボモードに、F8A型はジムニー8などに搭載。
G型エンジン: 1.0-1.8L。G10B型はマルチ・ゼンに、G13A型はカルタスなどに搭載。
J型エンジン: 1.8-2.4L。J18/J18A型はカルタスクレセントワゴンなどに搭載。
K型エンジン: 1.0-1.6L。K10A型はワゴンRワイドなどに搭載。
M型エンジン: 1.3-1.8L。M13A型はイグニスやジムニーワイドなどに搭載。

V型6気筒

スズキのV型6気筒エンジンは、自社製ではH型が最大で、それより大排気量のN型はGMとの共同開発によるものです。

H型エンジン: 2.0-2.7L。H20A型はエスクードなどに、H27A型はXL7などに搭載。
N型エンジン: 3.2-3.6L。N32A型はエスクードに、N36A型はXL7に搭載。

ディーゼルエンジン

スズキは近年まで自社製のディーゼルエンジンを保有していませんでしたが、近年自社開発を開始しています。

E型エンジン: E08A型は0.8L直列2気筒、E15A型は1.5L直列4気筒。

OEM供給エンジン

スズキは、他社からOEM供給を受けたエンジンも一部車種に搭載しています。

GM大宇L34型: 2.0L直列4気筒エンジン。スズキ・フォレンツァなどに搭載。
日産QR25DE型: 直列4気筒エンジン。スズキ・イクエーターに搭載。
韓国GMXK6型: 2.5L直列6気筒エンジン。スズキ・ヴェローナに搭載。
日産VQ40DE型: V型6気筒エンジン。スズキ・イクエーターに搭載。
RF型: 2.0L直列4気筒ディーゼルエンジン。マツダ製。エスクードに搭載。
JTD型: 1.3-2.0L直列4気筒ディーゼルエンジン。フィアット製。スイフトなどに搭載。

まとめ

スズキのエンジンは、その多様性と独自の技術で、多くの車種を支えてきました。2ストロークエンジンから4ストロークエンジンへの転換、小排気量エンジンの開発、そして近年では自社開発のディーゼルエンジンの登場など、スズキのエンジン技術は常に進化を続けています。

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