スズキ・マイティボーイ

スズキ マイティボーイ：愛称「マー坊」で親しまれたユニークな軽トラック

スズキ マイティボーイは、1983年から1988年までスズキ自動車工業（現・スズキ）が生産・販売していたボンネット型の軽トラックです。愛称の「マー坊」は、テレビCMのキャッチフレーズ「スズキのマー坊とでも呼んでくれ」に由来し、親しみやすい存在として広く認知されました。

概要

マイティボーイは、2代目セルボをベースに、Bピラーより後方のルーフを切り取り、ピックアップトラックとしたモデルです。荷台の全長は660mm、最大積載量は200kgと、一般的なキャブオーバータイプの軽トラックに比べて積載能力は劣ります。しかし、その分キャビンは広く、シートのスライドやリクライニングが可能で、座席後方のスペースも収納場所として活用できるなど、快適性に配慮した設計がなされています。

セルボをベースとしているため、フロントウインドシールドの傾斜が強く、ドライビングポジションもスポーティな要素が強調されています。メーカーも実用性一辺倒の商用車ではなく、スタイリッシュなピックアップトラックというコンセプトで売り出しました。

当時の車両本体価格は45万円と、四輪車としては非常に低価格でしたが、販売実績は、同じく低価格をアピールして大成功した初代アルトのヒットには及びませんでした。しかし、搭載されたF5Aエンジンは、最終的に31ps/6,000rpmの出力と4.4kg-m/3,500rpmのトルクを発揮し、軽量な車体と相まって軽快なドライブフィールを提供しました。

ただし、標準タイヤはラジアルではなく10インチのバイアスタイヤであったため、グリップ性能はやや劣っていました。現在では旧車として扱われることが多いものの、その独特なスタイルと希少性から、マニアの間で非常に人気が高く、インターネットオークションでの取引も活発です。

初代 SS40T型（1983年-1988年）

マイティボーイは、1983年2月に初代モデルが登場しました。ヘッドランプは、セルボの角型に対して、マイティボーイではφ152mmの丸型（シールドビーム式）が採用されました。内装には、初代アルトのダッシュボードとシートが使われています。グレードはLタイプとAタイプの2種類で、Lタイプには荷台部分にデッキカバーと呼ばれる幌が装備されていました。

1985年2月にはマイナーチェンジが行われ、全車ヘッドランプが角型タイプに変更されました。Lタイプに標準装備されていたデッキカバーは廃止され、代わりにルーフレールが装着されました。また、Lタイプには12インチスチールホイールとラジアルタイヤ、フロントディスクブレーキ、5速MT、トリップメーター、タコメーターなどが標準装備されました。ダッシュボードやシートは、マイナーチェンジしたセルボのものが使われるようになりました。

1987年12月に生産が終了し、在庫対応分のみの販売となりました。1988年1月には、セルボのフルモデルチェンジに伴い、販売が終了しました。

プラットフォームを共有する車種・姉妹車

マイティボーイとプラットフォームを共有する姉妹車は以下の通りです。

セルボ（2代目） E-SS40C
アルト（初代後期型） H-SS40V
フロンテ（5代目4ストローク車） E-SS40S

これらの車種は、型式が共通のSS40であり、シャシーを共有しています。

その他

1983年の第25回東京モーターショーでは、ジムニー1000のシャシーにマイティボーイのボディを載せ、大径タイヤを装着したコンセプトカーが出品されました。
1985年頃には、ランチア・ラリー037を彷彿とさせるエアロパーツ「スーパースタイリング・ヤンチャラリーキット」が発売されました。
1985年10月から1986年3月まで放送された歌合戦番組『キンキンの歌え!新婚カンコン』では、優勝した新婚夫婦に贈呈される賞品としてこの車が用意されていました。
* CMキャラクターは、当初は東京JAPが務め、後期型では三宅裕司率いるスーパー・エキセントリック・シアターに変更されました。

マイティボーイは、そのユニークなデザインと手頃な価格で、多くの人々に愛されました。現在でも、その個性的な魅力から、旧車ファンを中心に高い人気を誇っています。

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