ステファン・ウロシュ1世 (セルビア王)

ステファン・ウロシュ1世：セルビア王国の発展に貢献した王

ステファン・ウロシュ1世（1223年 - 1277年）は、13世紀のセルビア王国を統治した王です（在位：1243年 - 1276年）。その治世は、「偉大なる王」と称されるほどの功績を残しました。

生涯

ステファン・ウロシュ1世は、初代セルビア王ステファン・ネマニッチの末子として生まれました。母アンナは、ヴェネツィアの有力貴族ダンドロ家の出身であり、ヴェネツィアのドージェを務めたエンリコ・ダンドロの孫娘にあたります。

1243年、内乱により兄ステファン・ヴラディスラヴが王位を退くと、ウロシュ1世が王位を継承しました。退位したヴラディスラヴとは良好な関係を維持し、ウロシュ1世の特免状にはヴラディスラヴの名前も見られます。治世初期には、セルビアの宿敵であったエピロス専制侯国とブルガリア帝国の衰退が重なり、セルビアはバルカン半島での影響力を拡大しました。

1252年から1253年にかけて、フムの帰属を巡り、ラグーサ共和国と交戦しました。ウロシュ1世と対立するラドスラヴはラグーサと共闘し、ハンガリー王ベーラ4世の支援も受けていました。ラグーサはブルガリアとも同盟を結びましたが、1254年に和約が成立し、セルビアの危機は去りました。1260年代半ばには再びラグーサとの間で戦争が起こりましたが、1268年に和約が結ばれ、ラグーサからセルビアへの貢納が約定されました。この貢納は約定は14世紀まで続けられました。

1268年、セルビアはハンガリーが領有していたマチュヴァに進攻しますが、敗北し、ウロシュ1世は捕虜となります。釈放金を支払い釈放された後、和平が成立し、子のステファン・ドラグティンとハンガリー王子イシュトヴァーンの娘カタリンの婚姻が成立しました。

治世末期には、中央集権化を進めたウロシュ1世は、ドラグティンへの領地付与を拒否したことが原因で、親子の対立が悪化しました。ウロシュ1世は末子のステファン・ウロシュ2世ミルティンへの王位継承を考え始め、ドラグティンは危機感を募らせ、1276年にハンガリーの支援を受けて反乱を起こしました。セルビア軍は敗北し、ウロシュ1世は退位を余儀なくされ、フムの修道院に隠棲し、1277年に没しました。

経済政策

ウロシュ1世は、経済発展を積極的に推進しました。彼の治世下で鉱山採掘が再開され、サクソン人の鉱夫がセルビアに流入し、ブルスコヴォやルドニクなどの鉱山開発が進められました。サクソン人のコミュニティには自治とカトリック信仰が認められ、経済的な繁栄はドゥブロヴニクやコトルなどのダルマチアの交易都市との関係を強化しました。鉱物採掘量の増加と貿易の振興により、ヴェネツィアの硬貨をモデルとした貨幣が大量に流通しました。

文化事業

ウロシュ1世は、1260年頃にソポチャニ修道院を建設しました。この修道院は、ビザンツ人画家によるフレスコ画の美しさで知られています。しかし、王侯貴族の生活は、ビザンツ帝国に比べると質素なものであったようです。1266年にセルビアとビザンツの間に婚姻交渉が行われた際、コンスタンティノープルの使節団は王宮とウロシュ1世の生活を見て衝撃を受けたと記録されています。

家族

アンジュー家出身の妻イェレナ・アンジューイスカとの間に、3人の子をもうけました。

ステファン・ドラグティン
ステファン・ウロシュ2世ミルティン
* Brnjača（娘）

まとめ

ステファン・ウロシュ1世は、内乱を経て王位に就き、セルビア王国の経済発展と文化の隆盛に貢献しました。外交手腕を発揮し、鉱山開発や貨幣流通を促進し、ソポチャニ修道院の建設など文化事業にも貢献した王でした。

もう一度検索