ステルコビリンとは？意味をやさしく解説

ステルコビリンの概要

ステルコビリン（stercobilin）は、テトラピロール類に属する胆汁色素であり、ヘムの代謝過程で生成される重要な物質です。この化合物は、便の茶色の色素の主な成分として認識されています。1932年に初めて大便から分離されて以来、その特性や役割についての研究が進められています。

ステルコビリンは、赤血球中のヘモグロビンが分解されて生成されるヘムの代謝物であり、主にマクロファージによって老化した赤血球が解体されるところから始まります。ヘムはビリベルジンを経て、ビリルビンに還元されます。このビリルビンは血流に乗り、アルブミンと結びつき肝臓へ運ばれます。肝臓に到着したビリルビンは、さらなる処理を受け、グルクロン酸と結合したビリルビンとなり、胆汁と共に小腸に分泌されます。ここでビリルビンは腸内細菌の作用により、無色のウロビリノーゲンに変わります。

ウロビリノーゲンの大部分は大腸でステルコビリノーゲンに変換され、最終的には酸化を経てステルコビリンとなり、便の中に排泄されます。この過程で、大便が空気に触れることで色が濃くなることもありますが、これはステルコビリンの酸化が原因とされています。

閉塞性黄疸の状態では、ビリルビンが正常に小腸に到達できず、その結果としてステルコビリンが生成されません。この状態が続くと、便の色が灰色になるなどの症状が見られることがあります。

最近の研究では、茶色の胆石がステルコビリンを多く含有していることが確認されました。これは胆道における細菌感染と関連があり、このような感染によって茶色の胆石の形成が促されることが示されています。

1996年に行われた研究では、ステルコビリンやその関連物質が新たなHIV-1タンパク質分解酵素抑制剤としての可能性を持つことが示唆されています。これらの化合物は、既知のHIV-1抑制剤であるMerck L-700,417と似た構造を持ち、今後の研究に期待が寄せられています。