スプリングフィールド (軽巡洋艦)

アメリカ海軍の歴戦の艦、スプリングフィールド

スプリングフィールド（USS Springfield, CL-66/CLG-7）は、アメリカ海軍のクリーブランド級軽巡洋艦の12番艦として誕生し、後にプロビデンス級ミサイル巡洋艦の2番艦として生まれ変わった、数奇な運命をたどった艦です。艦名はイリノイ州とマサチューセッツ州のスプリングフィールドに由来し、その名を冠する艦としては3隻目にあたります。

起工から第二次世界大戦終結まで

1943年2月13日、マサチューセッツ州クインシーのベスレヘム・スチール、フォアリバー造船所で起工されたスプリングフィールドは、1944年3月9日に進水、同年9月9日に就役しました。処女航海でカリブ海へ向かい訓練を重ねた後、太平洋戦線へ投入されます。

1945年1月、スプリングフィールドはヤルタ会談へ向かうルーズベルト大統領を乗せた重巡洋艦クインシーと合流、護衛任務に就きました。その後、パナマ運河を通過し、真珠湾を経由して西太平洋へ進出。空母機動部隊（第58任務部隊）に合流し、沖縄戦や日本本土への攻撃作戦に参加しました。沖縄戦では特攻機の攻撃をかわし、艦砲射撃も実施。終戦直前には東京湾に入港し、横須賀鎮守府の接収を支援しました。終戦後も極東に留まり、日本、中国、朝鮮の各地を訪問しました。

1946年、スプリングフィールドはアメリカへ帰還し、西海岸での活動を経て、11月には再び西太平洋へ派遣されました。1948年には横須賀を再訪、第7艦隊と行動を共にし、佐世保、呉、青島、上海、沖縄、函館、小樽、香港など、アジア各地の港に寄港しました。

ミサイル巡洋艦への改装と冷戦時代

1949年、スプリングフィールドはアメリカに帰国。1950年には予備役となりましたが、1957年からミサイル巡洋艦への大改装工事が開始され、1960年7月に再就役を果たしました。再就役後は大西洋艦隊に所属し、第6艦隊旗艦として地中海に展開。1967年まで旗艦任務を務めました。この間、地中海の主要な港を巡り、各国の演習に参加し、ギリシャ王コンスタンティノス2世やモナコ大公妃グレースなどの要人を迎えています。

1967年1月、スプリングフィールドは旗艦の任をリトルロックに譲り、アメリカへ帰還。オーバーホール後、第2艦隊旗艦に就任し、北大西洋でのNATO演習に参加。ヨーロッパ各地を訪問後、ノーフォークへ帰港しました。1969年7月、耐久試験のため第2艦隊旗艦の任をニューポート・ニューズに譲ります。

1970年1月、再び第2艦隊旗艦となりましたが、同年8月には再び旗艦の任を譲り、地中海へ展開。リトルロックから第6艦隊旗艦を引き継ぎ、4年間を地中海で過ごしました。この間、演習や外交活動に従事し、リチャード・ニクソン大統領など多くの要人が乗艦しています。1973年にはチュニジアの豪雨災害への救援活動にも参加しました。

退役

1973年9月、スプリングフィールドは旗艦の任をリトルロックに譲りアメリカへ帰還。テリアミサイルシステムが旧式化していたこともあり、大規模な改修をせずに1974年5月15日に退役、大西洋予備艦隊施設に係留されました。第二次世界大戦での戦功により、スプリングフィールドは9つの従軍星章を受章しています。

スプリングフィールドは、軽巡洋艦からミサイル巡洋艦へと変貌を遂げながら、第二次世界大戦から冷戦終結まで、激動の時代を駆け抜けたアメリカ海軍の象徴的な存在でした。その長い艦歴は、アメリカ海軍の歴史に深く刻まれています。

もう一度検索