スポロゴニー

スポロゴニーについての詳細

スポロゴニー（英: sporogony）は、単細胞の寄生生物が宿主内で行う生殖の一形態です。この過程は、接合子が新たな宿主を感染させるために必要な細胞、すなわち感染性の「胞子」を形成する重要なプロセスとして知られています。スポロゴニーを実施する細胞は「スポロント（sporont）」と呼ばれ、ここから生成される感染性細胞は「スポロゾイト（sporozoite）」と呼称されます。本用語は、かつては胞子虫に特有のものでしたが、現代ではアピコンプレックス門やミクソゾア、微胞子虫といった多様な生物群にあてはまります。

アピコンプレックス門のスポロゴニー

アピコンプレックス門に属する生物では、接合後すぐに減数分裂が行われ、その過程でスポロゴニーがスタートします。例えば、コクシジウム類では接合子が被嚢形成し、その個体を「スポロント」と呼びます。その後の細胞分裂によって、複数の「スポロブラスト（sporoblast）」が生成されます。これらのスポロブラストも再び被嚢化し、「スポロシスト」という構造を形成します。このスポロシスト内では、さらに細胞分裂が進行し、感染性の「スポロゾイト」が多数生成されます。このようにしてできあがった構造が「オーシスト」として知られています。

一方で、スポロシストは厳しい環境条件にも耐性があり、これにより次なる宿主へのスポロゾイトの伝播が可能となります。さらに、グレガリナ類においてはオーシスト内で直接スポロゾイトが生成されることが一般的であり、住血胞子虫やピロプラズマのような生物では、環境耐性を伴う構造はあまり見られません。

マラリア原虫のスポロゴニー

具体例としては、マラリア原虫の生活環が挙げられます。この虫は蚊の中腸内で接合し、そこで形成されるオーキネート（運動能力を持つ接合子）が上皮細胞に侵入し、スポロゴニーを行います。オーシストが形成されると、やがてそれは破裂し、内部に生成されたスポロゾイトが放出されます。これらのスポロゾイトは蚊の唾液腺に移動し、その後宿主の血液を吸う際に唾液と共に宿主体内へと入り込み、感染が成立するのです。

このように、スポロゴニーは単細胞寄生生物の生存戦略のひとつとして非常に重要な役割を果たしており、感染の拡がりに寄与しています。様々な生物がこの過程を利用することで、種の存続や営みを支えているのです。

参考文献

• - 疾患学教科書
• - 寄生生物の生態に関する文献

関連項目

• - メロゴニー
• - ガメトゴニー

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