スンダルバンス国立公園

スンダルバンス国立公園

スンダルバンス国立公園はインド共和国の西ベンガル州に位置し、世界最大のデルタ地帯に広がる自然宝庫です。1984年に国立公園として指定され、ユネスコの世界遺産にも認定されています。この公園は、絶滅危惧種を含む多様な動植物が生息しており、特に希少なベンガルトラの保護で有名です。

立地と環境

スンダルバンス国立公園は、バングラデシュとの国境近くにあり、ベンガル湾に面しています。その広さは東西250キロメートル、南北で40から80キロメートルにおよび、広大な湿地帯を形成しています。ヒマラヤ山脈から流れるガンジス川とブラマプトラ川がもたらした土砂によって、数百万年かけてこの地形が形成されました。

公園内には、世界最大級のマングローブ林が広がっており、暴風雨からの自然の防波堤となっています。また、マングローブの気根が土砂の流出を防ぎ、陸地の形成にも寄与しています。スンダルバンス国立公園は、コルカタから約60キロメートルの位置にあります。

歴史的背景

1970年代初頭、絶滅の危機に瀕していたベンガルトラを守るための「プロジェクト・タイガー」が始まりました。1973年、スンダルバンス地域はトラ保護区に指定され、1978年には森林保護区も設立され、1984年に国立公園として正式に指定されました。1987年にはユネスコの世界遺産に登録され、2001年には生物圏保護区として認定されました。

多様な生物たち

この公園には300種以上の植物が育ち、多様な水生・陸生動物が生息しています。干潟では栄養豊かな土壌が多くの海洋動物の孵化場所として機能しています。また、ここではガンジスカワイルカやニタリクジラなど、希少な哺乳類が見られます。さらに、マングース、ベンガルヤマネコ、ヒョウ、スナドリネコ等が生息し、爬虫類にはイリエワニやキングコブラも含まれています。

スンダルバンス圏内では数多くの鳥類も観察でき、特にコウノトリ科の種やカワセミ科の美しい鳥たちが繁殖しています。生態系の豊かさは、希少種や絶滅危惧種の生息地としても重要視されています。

見学方法

スンダルバンス国立公園を訪れる際は、船上からの見学か、特定の観察塔を利用することが推奨されています。西ベンガル州観光開発公団が運営するツアーもあり、季節ごとに多くの観光客がこの自然の美しさを体験しています。

プロジェクト・タイガーの影響

トラの保護を目的とした「プロジェクト・タイガー」は、スンダルバンス地区でも実施され、トラの生息状況は改善を見せました。しかしながら、トラによる人的被害が過去に報告され、これを受けてWWFなどが住民に対する啓発活動を行い、その後は被害件数が大幅に減少しました。

スンダルバンス国立公園は、その独特な生態系と豊富な生物多様性から、自然の悦びを感じさせてくれる場所です。訪れる人々にとって、貴重な自然環境を守るための重要性を認識させる場となっています。

もう一度検索