タイコンデロガ (空母)

USS タイコンデロガ (CV-14): 激戦を生き抜いた歴戦の空母

USS タイコンデロガ (CV-14) は、アメリカ海軍のエセックス級航空母艦として10番目に就役しました。艦名はアメリカ独立戦争の古戦場、タイコンデロガ要塞に由来します。イロコイ族の言葉で「二つの水に挟まれた場所」を意味し、「ビッグT」や「ティコ」の愛称で親しまれました。

エセックス級の中でも後期に建造された本艦は、対空火器の強化など、設計変更が加えられた「長船体型」に分類されます。ただし、アメリカ海軍では公式な分類ではなく、全て「エセックス級」として扱われています。また、飛行甲板の形状にも特徴があり、これは「タイコンデロガ」と「ハンコック」のみに見られるものです。

第二次世界大戦での活躍

1944年に就役した「タイコンデロガ」は、太平洋戦線に投入され、フィリピン攻略戦やルソン島の戦いなどに参加しました。1944年11月には、レイテ沖海戦での地上支援攻撃に従事し、重巡洋艦「那智」の撃沈に貢献。しかし、神風特攻隊の攻撃も受けました。

1944年12月には、ルソン島への空襲で重巡洋艦「熊野」などを撃沈。しかし、再び特攻隊の攻撃を受け、空母「エセックス」や「イントレピッド」が損傷。「タイコンデロガ」は対空砲火で援護し、損傷した姉妹艦の艦載機を収容しました。

特攻による大破と復帰

1945年1月、台湾への攻撃任務中に特攻隊の攻撃を受けます。2機の特攻機が相次いで命中し、大火災が発生。キーファー艦長の的確な指揮により、火災は鎮火されましたが、艦は大破し、アメリカ本国での修理を余儀なくされました。修理と同時に、対空火器の増設などの改装も行われました。

修理後、「タイコンデロガ」は再び太平洋戦線に復帰し、九州や呉軍港への攻撃に参加。終戦を迎え、日本国内の捕虜収容所の捜索や救援活動に従事しました。

冷戦時代とベトナム戦争

戦後は近代化改装を受け、1954年に再就役。1964年のトンキン湾事件では、北ベトナムの魚雷艇を攻撃し、報復攻撃にも参加しました。その後、ベトナム戦争に投入され、北爆作戦などに参加。1965年12月には、横須賀へ帰還する途中で、水素爆弾を搭載したA-4E攻撃機が海中に転落する事故が発生しました。

1968年には、プエブロ号事件を受け、北朝鮮沖に派遣。その後、再びベトナムに戻り、テト攻勢に対応しました。1969年には、EC-121撃墜事件の際には日本海に展開。同年、対潜空母 (CVS) へ改造されました。

アポロ計画への貢献と退役

1972年、「タイコンデロガ」はアポロ計画の最終段階において、アポロ16号とアポロ17号の回収艦を務めました。1973年には、スカイラブ計画でもスカイラブ2号の回収艦を務めました。

1973年9月1日、「タイコンデロガ」は退役。その輝かしい艦歴に幕を閉じました。第二次世界大戦での戦功で5個の従軍星章、ベトナム戦争の戦功で12個の従軍星章を受章しました。艦名はタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦「タイコンデロガ」に受け継がれています。

創作作品への登場

「タイコンデロガ」は、数々の創作作品にも登場しています。

『トラ・トラ・トラ!』(映画): ヨークタウン級空母「エンタープライズ」として出演
『終戦のローレライ』(小説): 福井晴敏
『イリヤの空、UFOの夏』(ライトノベル): 秋山瑞人
『永遠の0』(小説・映画): 百田尚樹

まとめ

USS タイコンデロガ (CV-14) は、第二次世界大戦からベトナム戦争まで、数々の激戦を生き抜いた歴戦の空母です。その輝かしい艦歴は、アメリカ海軍の歴史に深く刻まれています。

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