アポロ16号

アポロ16号の詳細

アポロ16号は、アメリカのアポロ計画における10番目の有人宇宙飛行であり、1972年に実施されました。このミッションは、史上5度目の月面着陸となり、特に月の高地に着陸した初めての例でもあります。アポロ計画の中で、月面車を使った科学的探査を行う「J計画」としては2回目の飛行であり、非常に重要な役割を果たしました。

ミッション概要

アポロ16号は、1972年4月16日にフロリダ州のケネディ宇宙センターからサターン5型ロケットによって打ち上げられました。乗組員は、ジョン・ヤング船長、チャールズ・デューク月着陸船操縦士、ケン・マッティングリー司令船操縦士の3名で構成されていました。ミッションは11日間にわたり、月面滞在は71時間にも及びました。

月面探査は主にデカルト高地とケイリー・クレーターの2つの地点に焦点を当て、今回の飛行では95.8キログラムのサンプルが地球に持ち帰られました。また、月面車を利用して26.7キロメートルの距離を走行し、20時間以上にわたる三度の船外活動を行いました。

このミッションでは、ヤングとデュークが月面での活動を担当し、マッティングリーは司令船で月を周回しながら観測を行いました。特に、デカルト高地のサンプルが注目を集め、火山活動が形成したという仮説が誤りであることが証明されました。

宇宙飛行士の経歴

マッティングリーは、当初アポロ13号の搭乗員として予定されていましたが、補助搭乗員デュークが麻疹のウイルスに感染したため交代を余儀なくされました。また、船長のヤングは宇宙飛行のベテランであり、過去にジェミニ3号、10号、アポロ10号のミッションを経験しています。

デュークはアポロ計画の中で初めて月に降り立つこととなり、彼は最も若い宇宙飛行士として記録されることになりました。

訓練と準備

アポロ16号の乗組員は、厳格な訓練プログラムに従い、地質学の知識や月面での実践的な技術を学びました。具体的には、カナダのサドバリー地区での実地調査などを行い、月面の地質特性を理解するための準備を行いました。また、新型宇宙服を使用した訓練やサバイバル訓練も実施しました。

着陸と探査

4月21日に、月面着陸船「オリオン」はデカルト高地に着陸しました。着陸後には、観測やサンプル収集を行い、数回の船外活動を通じて周囲の調査を行いました。特に、レゴリスの分析は非常に重要で、火山活動が形成したという従来の仮説が覆されました。

地球への帰還

ミッション終了後、ヤングとデュークは着陸船を離脱し、マッティングリーとのドッキングを果たしました。その後、無事に地球に帰還し、ミッションは成功裏に終了しました。アポロ16号が持ち帰ったサンプルは、月の地質学に関する重要なデータを提供し、科学的研究の発展に寄与することとなりました。

このように、アポロ16号は月探査の歴史において重要な役割を果たしたミッションとして、今でも多くの関心を集めています。

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