タビンシュエーティー

タビンシュエーティー王の生涯と業績

タビンシュエーティー王（ビルマ語：တပင်‌ရွှေထီး）は、1516年4月16日に誕生し、1550年4月30日に亡くなったビルマの王であり、タウングー王朝の中でも特に名を馳せた人物です。彼は1530年11月24日に即位し、在位中に多くの軍事的成果を上げ、ビルマ人の歴史に名を残しました。彼の父、ミンチーニョが1503年に獲得したチャウセーの地域は、急成長を遂げる土台となり、タビンシュエーティー王はその資源を背景に即位後すぐに政治的権力を強化しました。

軍事的拡張と勝利

王となったタビンシュエーティーは、1534年にエーヤワディー川のデルタ地域を掌握し、ビルマの主要地域の支配を拡大しました。彼は1539年にモン族が支配していたペグー王朝に攻撃を仕掛け、首都であるペグーを陥落させることに成功します。この戦闘により、ペグー王朝は滅び、タビンシュエーティーはビルマの軍事的力を大いに示しました。

さらに、彼は翌1540年にポルトガル人傭兵、ジョアノ・カイェイロを700名雇い入れ、新たな兵器である火薬を使った攻撃を行いました。この新兵器の導入により、彼の軍事力は一層強化され、1541年にはモン族の都市マルタバンを攻め、兵糧攻めを用いて陥落させるという戦果を上げました。これによって、南方のモン族を平定し、彼の影響力を確立しました。

領土の拡大と内の困難

タビンシュエーティー王はその後も攻撃の手を緩めず、1554年にはシャン族が支配していたアヴァ王朝に襲い掛かり、首都を攻撃して中央ビルマ全域を支配する地位を確立しました。一方、1547年から1549年にかけては、小タイ族のアユタヤ王朝に対しても軍を向けましたが、相手もポルトガル傭兵を持っていたため、戦略が不完全で失敗に終わります。

しかし、タビンシュエーティー王の治世は一方で彼の私生活において暗い影を落としました。ポルトガル人傭兵達が持ち込んだ酒に依存し、アルコール依存症に悩まされるようになります。また、彼はモン族の女性と結婚し、モン族の習慣を取り入れることで、ビルマ人の政治的権力が脅かされることに繋がりました。これにより、国内ではモン族に対する反感が高まってしまいます。

崩壊の兆しと影響

1550年、シッタウンの国主に暗殺されることでタビンシュエーティー王の治世は終焉を迎えますが、彼の死後、タウングー王朝では他民族による反乱が相次ぎ、国は再び分裂の危機に直面します。この混乱を収めたのは、彼の乳母の兄弟であるバインナウンでした。

また、タビンシュエーティー王は、ビルマの民間信仰であるナッ信仰においても重要な存在とされ、37柱のナッ神の一柱として崇められています。彼は正装をし、胡坐を組んだ姿で右手に刀、左手を膝の上に置いた形で描かれることが多いです。

近年、2001年のタイ映画『スリヨータイ』では、俳優スパキット・タンタットサワートがタビンシュエーティーを演じ、その存在感を再確認させました。彼の治世はビルマの歴史において忘れがたいものであり、その影響は今もなお感じられています。

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