タマ・プロダクション

株式会社タマ・プロダクション：日本のアニメ史に刻まれた足跡

株式会社タマ・プロダクションは、日本のアニメ業界において重要な役割を果たしたアニメ制作会社です。1965年、少女漫画家出身のアニメーター、田中英二氏によって作画スタジオ「タマ・スタジオ」として設立されました。

設立当初は、虫プロダクション作品などの作画を請け負うことからスタートしました。『鉄腕アトム』や『ジャングル大帝』といった、現在も語り継がれる名作への貢献は、同社の高い技術力を示すものです。その後、1967年放送の『マッハGoGoGo』から竜の子プロダクション（タツノコプロ）の作品に参加し、同社作品において欠かせない存在となりました。

田中氏の繊細な作画タッチ、特に女性キャラクター描写には定評があり、『紅三四郎』（1969年）では全26話中17話もの作画を担当しました。タツノコプロが総作画監督システムを採用していた作品においても、タマプロが担当した回は修正が入らないという信頼関係を築いていたことが伺えます。

1970年には株式会社化。1970年代に入ると、仕上げ部門を立ち上げ、仕上げ業務も手がけるようになります。ナック（現・ICHI）の作品にも参加し、1974年放送の『チャージマン研！』は、後にカルト的な人気を博すこととなります。同作品は、タマ・プロダクションの実制作作品として知られており、後の同社の発展にも大きく貢献しました。

1982年、田中英二氏が他界。その後は、田中の実弟である西城隆詞氏と水村十司氏が中心となり、社長職は田中氏の弟である田中道哉氏が引き継ぎました。西城氏と水村氏らは、日本のアニメ業界において、その後の発展に貢献する数々の作品に携わったベテランアニメーターとして活躍しました。

1989年頃からは、撮影や制作スタッフを拡充し、自社での制作体制を整えることで、多くの作品でグロス請けを請け負うまでに成長しました。中国のアニメ制作会社との資本提携など、積極的に事業展開を進めていました。劇場映画制作にも意欲的に取り組み、テレビシリーズではグロス請けで参加するケースが多かったようです。

1990年代後半から2000年代前半にかけては、ディズニー作品やスティーブン・スピルバーグ監督作品など、アメリカの大手企業との合作の下請けが中心となりました。これは、同社の高い技術力が国際的に評価された証と言えるでしょう。

しかし、2007年時点では資本金1200万円、従業員30名と規模はそれほど大きくありませんでした。そして、2008年に活動を停止、2011年3月9日には東京地方裁判所より破産手続開始決定を受け、倒産しました。アニメ業界の不況という厳しい環境が、同社の終焉を招いた要因の一つと言えるでしょう。

タマ・プロダクションは、数多くのアニメ作品に携わり、日本のアニメーション史に大きな足跡を残しました。同社の作品は、現在でも多くのファンに愛され続けており、その技術力と貢献は高く評価されています。タツノコプロとの関係性、そして独自の作風は、日本のアニメーション業界に多大な影響を与えたと言えるでしょう。数々のベテランアニメーターを輩出した点も、同社の大きな功績と言えるでしょう。

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