タルキア

タルキア：知恵ある装甲恐竜

タルキア（Tarchia gigantea）は、モンゴルの白亜紀後期、およそ8,000万年から7,000万年前に生息していたアンキロサウルス科の恐竜です。「賢いもの」という意味を持つこの名前は、その頑丈な頭骨に由来します。アジア地域で発見されたアンキロサウルス科の恐竜としては、比較的新しい時代に生息していたと考えられています。

発見と特徴

タルキアの化石は、モンゴルのネメグト盆地にあるバルン・ゴヨト累層（以前は下部ネメグト累層として知られていました）から発見されました。これまでに、ほぼ完全な頭骨を含む複数の標本が見つかっています。タルキアは、ゴビ砂漠で発見されたアンキロサウルス類としては最大級であり、体長は約8〜8.5メートル、頭骨長は約40センチメートル、頭骨幅は約45センチメートルと推定されています。体重は約4.5トンと推定されています。

他の多くの装盾類と同様に、タルキアも体の前面を覆う骨質の装甲板を持っていました。また、尾の先には骨質のこぶ（尾椎）があり、防御のために使用されたと考えられています。

生息環境

タルキアが生息していたバルン・ゴヨト累層は、断続的な湖や季節風の影響を受ける、砂丘や砂丘間の環境であったと考えられています。このことから、タルキアは恐竜としては珍しく、乾燥した砂漠のような環境に適応していたと考えられています。この発見は、他の曲竜類も乾燥地帯に生息していた可能性を示唆するものとして注目されています。

サイカニアとの比較

タルキアの頭部の形状は、球根形や多角形の骨質の集まりで構成されており、同じバルン・ゴヨト累層から発見された別の曲竜類であるサイカニア・クルサネンシスを彷彿とさせます。タルキアは、サイカニアと比較して、相対的に頭蓋底が大きいこと、融合していない後頭骨傍突起と方形骨の接触、および前上顎骨のくちばしが上顎骨の歯列の最大距離よりも広いことによって区別されます。また、タルキアの歯には、歯と歯の咬合を示す摩擦面が見られます。

分類と系統

Vickaryousらの研究（2004年）では、白亜紀のアンキロサウルス科は、タルキアを含む2つの主要なクレードに分類されるとしています。1つは北アメリカのアンキロサウルスやエウオプロケファルスなどからなるクレード、もう1つはアジアのピナコサウルス、サイカニア、ティアンチェノサウルス、タラルルスなどからなるクレードです。「ディプロサウルス・ギガンティウス」は、タルキアのシノニムとみなされており、タルキアの第2の種として提案されたT. kielanaeは、T. giganteaと同一であることが判明しています。

タルキアは、その独特な形態と生息環境から、アンキロサウルス類の進化と多様性を理解する上で重要な役割を果たしています。

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