ダイハツ・テリオス

ダイハツ・テリオス：コンパクトSUVのパイオニア

ダイハツ工業が製造販売したテリオスは、コンパクトなボディながら高い走破性を備えたSUVとして人気を博しました。日本市場では初代モデルのみが「テリオス」の名称で販売され、ラガーやロッキーの顧客層をターゲットに位置づけられました。

初代テリオス：1997年から2006年

初代テリオス（型式:J100/102/122G型）は、1997年4月にデビュー。「Virgin 4WD」というキャッチコピーとともに、CMキャラクターには人気女優の神田うの氏を起用し、話題となりました。

全長がコンパクトな設計ながら、リアオーバーハングの延長により、クラスを超えた広大な荷室空間を実現。全幅は1555mmとコンパクトカー並のサイズ感ながら、室内空間もテリオスキッドとほぼ同等の広さを確保していました。また、コンパクトカーでは珍しい縦置きエンジンを採用。これは、オフロード走行や雪道走行時における高い負荷にも耐えうる、容量の大きなトランスミッションとトランスファーの搭載を可能にするためでした。

悪路走破性を高めるセンターデフロック機構も搭載し、その高い走破性から、林野庁森林管理署などでも官用車として利用されました。駆動方式は4WDとFRが用意され、エンジンは1.3Lの自然吸気仕様（HC-EJ型、のちにK3-VE型）とターボ仕様（K3-VET型、2000年より）がラインアップされました。給油口は、ラガーやロッキーと同様、右側に配置されていました。

初代テリオスは、トヨタ自動車へのOEM供給モデルであるトヨタ・キャミのベース車両としても知られています。また、リアオーバーハングを大幅に短縮した軽自動車規格のテリオスキッドも展開されました。日本国内での販売は2006年1月に終了し、後継車種であるビーゴへとバトンタッチしました。しかし、海外市場ではビーゴが2代目テリオスとして、さらには3代目モデルも展開されており、グローバルな人気を維持しています。

初代テリオスは、1998年にはマレーシアの現地合弁会社プロドゥアから「クンバラ」として販売されるなど、海外展開も積極的に行われました。日本国内では、1998年9月と2000年5月の2回のマイナーチェンジが行われ、衝突安全ボディ「TAF」の採用やヘッドランプの変更、FR駆動方式の追加、エンジンの変更などが実施されました。

2代目以降

2006年1月、テリオスはモデルチェンジを行い、「ビーゴ」へと名称変更されました。日本国内向けにはビーゴ、OEM供給モデルはトヨタ・ラッシュとして販売されました。海外向けには、7人乗りのロングボディ仕様（F700型）も用意されました。軽自動車版のテリオスキッドは、初代モデルをベースに2012年まで生産が継続されました。

2018年には、インドネシアで3代目テリオス（F800/F850型）が発表されました。7人乗りのロングボディのみとなり、姉妹車としてプロドゥアから生産されるアルズが存在します。この世代からトヨタ向けOEM（ラッシュ）はプロドゥア製となりました。2023年6月にはマイナーチェンジが実施されています。

車名の由来

テリオスという車名は、古代ギリシャ語で「願いを叶える」という意味を持ちます。

まとめ

ダイハツ・テリオスは、コンパクトなボディと高い走破性を両立させた、人気コンパクトSUVでした。初代モデルの成功は、後継モデルであるビーゴ、そして海外市場での展開へとつながり、その存在感は現在もなお、世界中で受け継がれています。

もう一度検索