ダドリー・パウンド

サー・アルフレッド・ダドリー・ピックマン・ロジャーズ・パウンド（Sir Alfred Dudley Pickman Rogers Pound, 1877年8月29日 - 1943年10月21日）は、イギリス海軍の軍人であり、最終階級は海軍元帥でした。彼は、1939年6月から1943年9月まで第一海軍卿を務め、第二次世界大戦初期のイギリス海軍を指揮しました。

生い立ちと初期のキャリア

パウンドはワイト島で生まれました。父親は法廷弁護士のアルフレッド・ジョン・パウンドで、母親はアメリカ人であり、祖父は商人のダドリー・レビット・ピックマンでした。1891年に士官候補生として海軍に入隊し、着実に昇進を重ねました。1916年には戦艦コロッサスの艦長に任命され、第一次世界大戦中のユトランド沖海戦に参加しました。

ユトランド沖海戦での活躍

ユトランド沖海戦において、パウンドはコロッサスの艦長として目覚ましい活躍を見せました。彼は2隻のドイツ巡洋艦を撃沈し、2隻の駆逐艦を撃破、さらに5本の魚雷を回避するという偉業を成し遂げました。この戦いでの彼の勇敢さと指揮能力は高く評価され、その後のキャリアを築く上で重要な経験となりました。

第一次世界大戦後

第一次世界大戦後、パウンドは海軍の企画部門に配属され、1922年には企画局長に就任しました。彼はこの時期に海軍の戦略立案に深く関わり、その後の海軍政策に大きな影響を与えました。1920年代には、ロジャー・キースが地中海艦隊司令長官を務めていた際、パウンドはその参謀長としてキースを補佐しました。この経験は、彼がより大きな指揮官になるための準備段階となりました。

地中海艦隊司令長官と第一海軍卿

1936年、パウンドは地中海艦隊司令長官に任命され、1939年までその任を務めました。その後、1939年6月には第一海軍卿に昇進し、同年7月31日には海軍元帥に昇任しました。第一海軍卿に就任したとき、彼の健康状態は既に優れていませんでしたが、他の海軍提督たちの健康状態はさらに悪かったとされています。海軍の軍医は初期の脳腫瘍に気付いていましたが、海軍本部にこの事実を伝えませんでした。また、腰の不調から十分に睡眠を取ることができず、会議中に居眠りをすることもあったと言われています。

第二次世界大戦中の指揮と評価

第一海軍卿としてのパウンドに対する評価は、大きく分かれています。海軍本部の幕僚からは、彼が協力的で仕事がしやすい人物として評価されました。しかし、海上にいた提督や艦長たちは、パウンドが「後部座席からあれこれ運転を指示する」ような干渉をすることに批判的でした。本国艦隊司令長官のジョン・トーヴェイは、パウンドと何度も激しく衝突しました。一方、1939年9月以降、パウンドと密接に仕事をしたチャーチルは、彼が非常に扱いやすい人物であると感じていました。パウンドの最大の功績の一つは、大西洋の戦いにおける勝利に大きく貢献したことです。しかし、PQ17船団に分散を命じたことは、彼の最も批判される決断の一つとされています。

死去

1943年、パウンドの健康状態はさらに悪化しました。彼は9月に第一海軍卿を辞任し、同年10月21日に亡くなりました。パウンドは、その功績と過ちの両方を含めて、イギリス海軍史における重要な人物の一人として記憶されています。

参考文献

Ludovic Kennedy:Pursuit: The Sinking of the Bismarck
Stephen Roskill:Churchill and the Admirals
Stephen Roskill:The War at Sea(UK Official History)
Stephen Roskill：Naval Policy Between the Wars
* Corelli Barnett:Engage the Enemy More Closely

もう一度検索