ダマスカスの戦い (2024年)

ダマスカス攻防戦：アサド政権崩壊とシリア内戦の終焉

2024年12月7日、シリア内戦における歴史的転換点となるダマスカス攻防戦が勃発しました。反体制派勢力はシリア南部からダマスカス郊外に侵攻、首都ダマスカスからわずか20キロメートル圏内まで迫る勢いで、複数の政府軍拠点を制圧しました。この同時多発的な攻勢は、北部ではタハリール・アル＝シャームとシリア国民軍によるホムス攻撃、南東部ではシリア自由軍によるダマスカス進攻と連携していました。

7日深夜には、反体制派は既にダマスカス市内のバルゼ地区に侵入。シリア人権監視団は、アサド大統領が空路でダマスカスを脱出したと報じ、イラン国営テレビも首都からの脱出を伝えています。その後、ロシア外務省はアサド大統領がロシアに亡命したと発表し、長きに渡るアサド政権の終焉を示唆しました。この攻防戦における反体制派の勝利は、50年にわたるアサド王朝による支配に終止符を打ちました。

攻勢の背景

このダマスカス攻勢は、綿密な計画に基づいた反体制派の戦略的行動によって引き起こされました。12月6日未明には、イランはシリアからの全面的な撤退を開始。イスラム革命防衛隊（IRGC）ゴドス軍の司令官も撤退し、イラン大使館やIRGC基地にいたイラン人職員はレバノンやイラクへと脱出しました。ホムスが反体制派に占領されたことで、アサド政権の沿岸部拠点であるタルトゥースとラタキアからの支援は困難になり、ダマスカスは孤立無援の状況に陥っていました。

12月7日未明までに反体制派はダルアー県とスワイダー県の大部分を制圧し、ダマスカス包囲の態勢はほぼ整っていました。反体制派司令官は、ダマスカス包囲戦の最終段階に突入したと発表しています。

ダマスカス南部攻防戦

12月7日、反体制派はアル・サナマンを占領し、首都包囲を開始。親政府軍はダマスカス郊外県の複数の拠点を放棄、反体制派は首都から10キロ圏内にまで接近しました。シリア政府は当初、軍の撤退を否定していましたが、ジャラマナ、クァタナなど、ダマスカス郊外の複数の地域から軍が撤退したことが判明しました。

シリア人権監視団の報告によると、反体制派はジャラマナ、ムアダミヤット・アル＝シャム、ダライヤなどを占領し、ハラスタへと進軍。ジャラマナではハーフィズ・アル＝アサドの銅像が撤去されました。反体制派が占領していない都市でも大規模な反政府デモが発生し、シリア軍の撤退が相次ぎました。8日未明には、アサド政権崩壊とシリア軍解散の報告が入り、ダマスカスの路上では軍服を脱ぐ兵士の姿が目撃されています。

サイドナヤ刑務所からは多くの政治犯が解放され、AP通信はダマスカス郊外での武装住民、機能不全の警察署、市街地を走行する戦車、モスクから聞こえる「神は偉大なり」の声などを報じています。ダマスカス空港は一時閉鎖され、アル＝ハダスはシリア軍が空港から撤退したと報じました。

シリア北部での攻勢とアサド大統領の行方

南部作戦室によるダマスカス近郊への侵攻と並行して、シリア自由軍はパルミラを制圧した後、北部から首都に迫っていました。反体制派は、政府高官や軍幹部の一部が反体制派に寝返ろうとしていると発表しています。

シリア国営メディアはアサド大統領の逃亡説を否定しましたが、関係者によると、大統領の姿は通常居座る場所にはなく、大統領の警護隊も不在だったとのことです。最終的に、シリアの上級将校はCNNに対し、アサド大統領が目的地不明の飛行機でダマスカスから逃亡したと証言しました。

国際社会の反応

シリア内務省はダマスカス周辺に強力な防衛線を構築したと発表しましたが、カタールはアサド政権の失敗を批判し、国連はジュネーブでの緊急協議を呼びかけました。ダマスカス攻防戦は、シリア内戦の終焉、そして長きに渡るアサド政権の崩壊を示す歴史的な出来事となりました。この出来事は、2021年のカーブル陥落を彷彿とさせるものであり、今後のシリアの政治情勢に大きな影響を与えることは間違いありません。

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