ダリエン国立公園

ダリエン国立公園

ダリエン国立公園はパナマのダリエン県に広がる、ユネスコに認定された世界遺産です。この国立公園はコロンビアとの国境近くに位置し、その向かいにはコロンビアのロス・カティオス国立公園があります。

公園の設定と背景

1980年に設立されたダリエン国立公園は、1983年には生物圏保護区として認定されました。この背景には、当時進行中だったパンアメリカンハイウェイの建設が、国境付近の環境に悪影響を及ぼすとの懸念がありました。そのため、公園の創設により、ハイウェイはパナマのヤビーサ付近で一度途切れることとなりました。

植物相の多様性

ダリエン国立公園は、太平洋沿岸やタカルクナ丘陵の山岳地帯を含み、その地形に応じて多様な植生が展開しています。マングローブ林やヤシ林、そして密生した熱帯雨林など、さまざまな生態系が共存しています。植物の種数は非常に多様で、300種以上の樹木や1000種以上のラン科植物が生育しています。

動物相の豊かさ

この公園の熱帯雨林は、多様な動物たちの生息地となっています。中央アメリカと南アメリカを結ぶ地理的な特性により、北からの動物や南からの動物が集まり、ユニークな動物相が形成されています。代表的な哺乳類には、世界最大の齧歯類であるカピバラや、ピューマ、オセロット、さまざまな猿の種類、ジャガーなどが含まれます。また、絶滅したとされるパナマジャガーもかつてここに生息していました。

多様な爬虫類としては、メガネカイマンやグリーンイグアナが確認されており、鳥類は1000種以上も生息しています。その中にはハチドリやオウギワシなど、多様な種が見られます。

先住民文化の保持

公園内では、アメリカ先住民のチョコ人たちが伝統的な文化を維持しながら生活しています。ダリエン国立公園の設立は、自然環境の保全だけでなく、彼らの独自の文化の保持にも寄与しています。

世界遺産としての登録基準

ダリエン国立公園は以下の基準に基づいて世界遺産に登録されました。

• - (7) 卓越した自然美および重要な自然現象を含むこと。
• - (9) 生態系の進化や動植物群の発展において重要な生態学的プロセスを示す顕著な例であること。
• - (10) 生物多様性を保全するために重要な自然生息地を含むこと。

旅行の際の注意

しかし、この地域には治安の問題もあり、日本の外務省からは渡航に関する注意が出されています。旅行を計画する際は、慎重に情報を収集し、安全を最優先することが重要です。ダリエン国立公園は、その自然環境や生物多様性の豊かさ、そして先住民文化の価値を理解するために訪れる価値があります。

もう一度検索