チエンラーイ県

タイ北部の魅力、チェンライ県

チェンライ県は、タイ王国最北部に位置するチャンワット（県）です。パヤオ県、ラムパーン県、チエンマイ県と隣接し、北はミャンマー、東はラオスと国境を接しています。平均標高580メートルで、西部と東部は山岳地帯、中心部は比較的平坦な地形が広がります。

自然と気候

タイで最も涼しい地域として知られ、特に1月は朝方10℃前後まで気温が下がり、氷点下を記録することもあります。日中は比較的温暖ですが、朝晩の寒暖差が大きいため、服装選びには注意が必要です。雨季は4月から10月までと、タイ国内の中では比較的短い期間です。 豊かな自然は、観光客にとって大きな魅力です。山岳地帯には多様な動植物が生息し、独特の景観を形成しています。また、メコン川とサーイ川が国境をなす黄金の三角地帯は、歴史的に重要な地域であり、現在も独特の文化が息づいています。

経済

かつてアヘン取引の中心地として知られた黄金の三角地帯ですが、タイ政府の厳しい取り締まりにより、その影響は減少しています。しかし、ラオスやミャンマーでは麻薬密輸の問題が依然として存在しています。

近年は、自然資源を生かしたリゾート開発が盛んになり、穏やかな気候と美しい景観が観光客を惹きつけています。また、山岳部には様々な少数民族が暮らしており、彼らの独特の文化も観光資源となっています。

合法的な貿易の推進も積極的に行われており、メーサーイ、チエンセーン、チエンコーンの3カ所の常設チェックポイントに加え、必要に応じて開設されるチェックポイントを通じた貿易は、中国を含む周辺国との経済交流を活発化させています。年間50億バーツ近くの取引額に上るこの貿易をさらに促進するため、チエンセーンとチエンコーンにはメコン川河港の建設が進められています。また、チエンマイからチェンライまでの鉄道延伸計画や、ラオスのルアンナムター県ナムター郡まで国道延長の計画も検討されています。

歴史

古くはラワ族が住んでいたとされ、紀元前1世紀頃にはタイ族の一派である哀牢が移住し、チエンルンやチエンラーオなどの都市を建設しました。その後、クメール族の支配下にあった時期を経て、8世紀にはチャオ・シンハナワッティクマーンという君主が、大理府（現在の中国雲南省）からタイ族を率いてこの地に南下し、ムアンナーカパントゥシンハナワッティナコーンを建設しました。

その後、プラオン・チャイナーラーイがカーロン川沿いにムアン・チャイナーラーイを建設し、その子孫が27代にわたって統治しました。10世紀初頭にはクメール族の攻撃を受けましたが、チャオ・プロマクマーンがクメール族を撃退し、地域を安定させました。

13世紀にはラーンナー王朝の創設者であるメンラーイ王が新たな首都建設を命じ、1262年にチエンラーイが首都となりました。しかし、1296年にはチエンマイに遷都されたため、首都としての地位は失われましたが、副王の居住地として重要な役割を果たしました。その後、ビルマの支配下にあった時期を経て、チャクリー王朝の支配下に置かれ、1910年にチェンライ県が成立しました。1977年にはパヤオ県が分割して誕生しています。

文化と民族

タイ族が人口の大部分を占めていますが、12.5％は山岳少数民族です。多様な民族文化が共存するチェンライ県では、独特の伝統や生活様式が息づいています。これらの文化に触れることも、この地域の魅力の一つです。

スポーツ面では、タイ・リーグ1に所属するチェンライ・ユナイテッドFCがAFCチャンピオンズリーグに2年連続出場するなど、高い人気を誇っています。

県章には、ラーンナータイ王朝の創設者メンラーイ王の伝説に基づいた白象があしらわれています。県木はMayodendron igneum、県花はカエンカズラです。

チェンライ県は、自然、歴史、文化、そしてスポーツと、多様な魅力を兼ね備えた地域です。訪れる人々を魅了する、多くの発見が待っています。

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