チャールズ・イビー

チャールズ・サミュエル・イビー

チャールズ・サミュエル・イビー（Charles Samuel Eby、1845年11月4日 - 1925年12月20日）は、カナダ・ウェスレアン・メソジスト教会から明治時代初期に日本へ派遣された宣[[教師]]であり、特に山梨県を中心とした地域でその生涯を捧げました。東京、静岡、甲府、沼津の四箇所に伝道拠点を持ち、キリスト教の普及に尽力しました。

生涯

1845年、カナダのオンタリオ州で、父ヨナス・イビーと母ハンナの第四子として誕生。幼少期をエローラで過ごし、1865年にはビクトリア大学（トロント大学）に入学しました。1868年からはドイツのハッレ神学大学へ留学し、神学研究に励む傍ら、ヨーロッパ各地でドイツ語とフランス語による説教を行いました。

1870年末にカナダへ帰国後、ヴィクトリア大学で研究を再開。1871年には文学士（B.A.）の学位を取得し、牧師としての按手礼を受けました。ネリー・ケッペルと結婚後、オンタリオ州プレストンに移住し、ドイツミッションの監督を務めました。

1876年、日本派遣宣[[教師]]の募集に応じ、妻と子供たちと共に日本へ向かいました。同年9月8日、カナダ・メソジスト教会第2陣宣[[教師]]として、G・M・ミーチャムと共に横浜に到着。翌日には、第1陣宣[[教師]]（ジョージ・コクランとデイヴィッドソン・マクドナルド）と合流し、部会を組織。コクランが部会長、イビーが書記に選出され、浅川広湖、山中笑、佐藤重道の3名が教職試補として挙げられました。また、教会の名称を日本メソヂスト教会とすることが決定されました。

来日当初は、中村敬宇の小石川同人社に籍を置き、メソジストの信仰箇条や教会礼文などの翻訳事業に携わりました。

1877年の冬には、長男がジフテリアで死去するという悲劇に見舞われました。同年7月13日、日本メソヂスト教会第二回部会が開かれ、杉山彦六（後の土屋彦六）、平岩愃保、細井省斎の3名が教職試補に採用されました。この際、平岩から近藤喜則の私塾「蒙軒塾（蒙軒学舎）」がキリスト教講師を求めているという情報がもたらされました。

同年7月20日、イビーは夏季休暇を利用して蒙軒塾での英語講師を務めるため東京を出発。平岩と三島で合流し、沼津のG・M・ミーチャム宣[[教師]]の家で日本語訳福音書を受け取りました。7月24日には山梨県巨摩郡睦合村南部に到着。住職のいない日蓮宗の寺を宿舎とし、すぐにマタイの福音書の講義を開始しました。福音書はすぐに不足し、静岡のマクドナルドのもとへ補充を依頼するほどでした。しかし、7月29日には僧侶による日曜礼拝の妨害が発生したため、宿舎を村の北方にある禅寺に移しました。

8月20日、地元住民からの強い要望を受け、甲府に住むことを約束し、横浜へ帰りました。同年10月には甲府を再訪し、移住を決意しました。

1878年4月24日、助手の浅川広湖と金井貞久を伴い甲府へ移住。甲府緑町にあった浅尾長慶の「英学義塾」で教師として教鞭を執りました。同年4月28日、堅近習町（現在の甲府市中央二丁目）の仮宿舎で宣教を開始。6月9日には桜町（さくらちょう）11番地の借家で礼拝を開始し、桜町英語学校を開設しました。同年6月中には、桜町11番地の借家のもう一棟に入居しました。

同年7月7日、甲府メソジスト講義所（後の甲府教会）を創設。浅川広湖が初代日本人牧師となりました。7月19-20日に築地で開催された第三回部会において、浅川広湖の任地が甲府と指定され、同時に山中笑は静岡、杉山彦六は沼津、平岩愃保は東京牛込へと派遣されることが決定しました。12月30日には、桑原道貞（後の伝道士）と小林光泰（後の甲府教会第八代牧師）に洗礼を授けました。その後3年間、馬で山梨県下を巡回し、勝沼、穂積、市川、谷村、日下部などの各地に教会や講義所を設立しました。

1879年3月16日には結城無二三が教えを乞うために訪れ、4月6日には結城とその家族がイビーから洗礼を受けました。同年7月、浅川広湖が甲府教会から静岡教会へ転任しました。1880年7月には、土屋彦六牧師が下谷教会から甲府教会へ赴任し、2代目牧師となりました。

1881年2月15日、イビーは甲府を離れ東京へ移りました。日本文化の海外紹介を目的とする英文雑誌「クリサンセマム」の編集長に就任。1882年4月には牛込教会（後の頌栄教会）に赴任し、4代目牧師となりました。1883年4月に牛込教会を離れ、同年春から4ヶ月間、毎週土曜日に木挽町の明治会堂で英語と日本語による「東京演説」を行いました。これは、東京大学などで流行していたスペンサーの不可知論やダーウィンの進化論に対抗するキリスト教護教のためのもので、英国公使H・S・パークスや米国公使デキソンも毎回出席しました。

1889年3月25日には、駒込教会で建築家伊藤為吉の結婚式を執り行いました。この駒込教会は伊藤為吉の設計によるものであり、イビー邸の建築も彼が担当しました。同年8月、東京府本郷区（現文京区）本郷に中央会堂（現・本郷中央教会）の建設用地を取得し、1890年1月に建設を開始しましたが、同年6月に火災で焼失し、再建を余儀なくされました。1891年1月3日、再建された中央会堂の献堂式が行われました。

1894年に日本を離れ、カナダのオンタリオ州バンクーバーで牧師を務めました。1913年にはサスカチュワン州サスカトゥーンに移り、ビクトリア大学（トロント大学）から名誉進学博士号を授与されました。1925年12月20日に生涯を閉じました。

チャールズ・イビーの日本における宣教活動は、キリスト教の普及だけでなく、地域社会への貢献、人材育成など多岐にわたり、日本の近代化に大きな影響を与えました。

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