チンゲンサイ

チンゲンサイ

チンゲンサイ（青梗菜、学名：Brassica rapa var. chinensis）は、アブラナ科アブラナ属の中国原産の葉物野菜です。中華料理によく使われる代表的な野菜の一つで、日本でも広く親しまれています。

名称

日本では、本来「タイサイ（体菜）」と呼ばれていましたが、特に白い軸の部分は「パクチョイ（白菜）」とも呼ばれていました。チンゲンサイが日本に導入されたのは、1972年の日中国交回復以降です。

中国では、チンゲンサイの漢字表記は統一されておらず、「青菜」「上海白菜」「蘇州青」「青江菜」「油白菜」「小白菜」など、さまざまな呼び方があります。中国では、ハクサイの一種として扱われますが、葉軸の色が薄い緑色であることから、軸が白いものは「白菜」（パクチョイ）と呼ばれます。なお、「しろ菜（しろな）」は山東菜の別名で、チンゲンサイとは異なる植物です。

英語では「Qing geng cai」と表記され、英語圏では「パクチョイ」（Pak choy）という呼称が一般的です。

歴史

チンゲンサイは、中国華中地方が原産で、日本へは1972年以降に導入されました。千葉県柏市の中華料理店「知味斎」が種を持ち込み、地元農家と協力して栽培法を確立したことが始まりとされています。近年では、小型の「ミニチンゲンサイ」も人気があり、葉を丸ごと料理に使える利便性から重宝されています。

特徴

チンゲンサイは、ハクサイの仲間で、軸の下の方が厚くしっかりしているのが特徴です。葉は濃い緑色で光沢があり、葉柄は肉厚で重なり合っています。草丈は25cm前後で、結球することはありません。

中国では、ハクサイの仲間を、結球する「大白菜」と結球しない「小白菜」に分けますが、チンゲンサイは「小白菜」の一種とされています。中国各地で多様な品種が栽培され、周年を通して収穫できます。

生育期間が短く、気温の変化にも比較的強いことから、日本ではハウス栽培により一年中市場に出回っています。

栽培

チンゲンサイは、春から秋にかけて栽培できます。露地栽培では、初秋に種をまいて晩秋から収穫するのが一般的です。ハウス栽培では一年中栽培が可能です。発芽適温は15〜25℃で、乾燥を嫌うため、水切れに注意する必要があります。

種まき後、間引きをしながら大きく育て、株ごと収穫します。一般的なチンゲンサイでは種まきから収穫まで40〜50日かかりますが、ミニチンゲンサイでは20〜30日で収穫できます。連作障害があるため、同じアブラナ科の野菜を1〜2年は栽培していない畑で育てる必要があります。

土壌はpH6.0〜6.5が適切で、堆肥を多く入れて腐植質を高めた土壌が適しています。点まきの場合は株間5〜15cm、すじまきの場合は1cm間隔で種をまきます。発芽後、間引きを行い、本葉が2〜3枚の頃に6cm間隔、5〜6枚の頃に10〜15cm間隔になるようにします。追肥は2週間ごとに行います。

収穫は、草丈が20〜25cm（ミニチンゲンサイは10〜15cm）、株元の直径が4〜6cmになったら収穫適期です。早めに収穫すると柔らかく、霜に当たると甘みが増します。

病害虫としては、アブラムシ、コナガ、アオムシ、ヨトウムシなどがつきやすいため、防虫ネットなどで予防します。コンパニオンプランツとしてシュンギクを植えると、害虫を忌避する効果が期待できます。

利用

チンゲンサイは、主に葉と葉軸の部分を食用にします。葉は緑色、軸は淡緑色で、シャキシャキとした食感と柔らかい歯ごたえが特徴です。

旬は冬場の10月〜4月で、露地物では秋（9月〜1月）が旬です。葉の色が濃く、葉脈がはっきりしていて、軸がみずみずしいものが良品とされています。

調理

味は淡白でアクが少なく、加熱しても煮崩れしにくいため、炒め物、スープ、煮込み料理、お浸し、和え物など、和洋中様々な料理に使われます。

調理の際は、葉と茎の部分を切り分けて、時間差で使うと良いでしょう。葉はざく切り、茎は縦に細切りにします。茹でる際は、塩と食用油を加えると水っぽくなるのを防げます。炒め物では、株元を先に炒め蒸しにしてから他の具材を炒め、最後に株元を戻すと、均一に火が通ります。

保存

高温や乾燥に弱く、鮮度が落ちやすいので、早めに消費するようにしましょう。保存する場合は、湿らせたキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫で立てて保存するのがおすすめです。

栄養価

チンゲンサイは緑黄色野菜で、ビタミンC、β-カロテンが豊富です。カルシウム、カリウム、鉄分、リン、食物繊維もバランス良く含み、低カロリーなのも特徴です。

特にβ-カロテンは可食部100gあたり約1800〜2000μgと、非常に豊富です。これはピーマンの約6倍に相当します。β-カロテンは体内でビタミンAに変化し、ビタミンCと相まって抗酸化作用や免疫力向上に役立ちます。カルシウムも比較的豊富に含まれており、ミズナやコマツナと並び、カルシウム摂取に効果的な野菜として知られています。

加熱による栄養素の損失が少ないのも特徴で、油との相性が良いため、炒め物にすると脂溶性のβ-カロテンの吸収率が高まります。

漢方・薬効

漢方では、熱さましや胸やけに効果があるとされ、胃の不快感がある時に良いとされています。

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