ツケヒキ定石

ツケヒキ定石とは

ツケヒキ定石は、囲碁における基本的な定石の一つであり、特に小目に対する一間高ガカリから生じる形を指します。この定石は、黒が隅の地を確保し、白が辺に展開するという、互角の局面を形成すると考えられています。ただし、その後の白の打ち方によって、様々な展開が考えられます。

基本形

小目への一間高ガカリに対し、黒が下に1とツケ、白2のオサエに対して黒3と引く形が基本です。この形の後、白はカタツギやカケツギで応じることが一般的です。中央を重視する場合は、大ゲイマやケイマで打つこともあります。また、白が手を抜く場合もあります。

カタツギ

白が1にカタツギした場合、黒は白のaへのツケを防ぐために、2あたりに打つのが一般的です。白は3と上辺に展開し、一段落となります。その後、黒はcのツメからdの打ち込みなどを狙います。

下辺では、白が3と高くヒラく手もあります。aやbなどに味方の石がいる時などは、バランスを考慮してこちらへヒラくことが多いです。黒はcにツメてからdへのオキ、eとツメればfの打ち込み、またはgへの侵入を狙います。

カケツギ

白が1にカケツギした場合も、黒はaのツケを嫌って2などに備えます。白は3とカタツギの場合よりも一路広く展開できます。ただし、黒からbにツメられるとcの打ち込みが厳しくなるため、白はeとトんで備えることもあります。

下辺では、白1のカケツギに対して黒2のノゾキを利かせ、黒4へのコスミやaへのケイマといった手もあります。しかし、後に黒bの打ち込みを失うため、近年はあまり打たれません。

大ゲイマ

白1と大ゲイマして中央を制覇する狙いもあります。黒aのキリには、白がbから符号順に打って外勢を固めます。黒は2などに打って、後に白の薄みを狙うことが多いです。黒が手を抜けば、白が2あたりに打って封鎖する展開も考えられます。

手抜き

白はツケヒキの形のまま手を抜き、黒1のキリを許すこともあります。後に白からaと引き出す手なども残るため、黒からaの点にカカエておくのも良い手です。

定石の方向性

ツケヒキ定石では、白が下辺に展開する形となります。しかし、下辺の価値が低い場合は、黒1のツケに対し、白がaとオサエるのではなく、白2 - 4とナダレ定石に持っていくこともあります。これにより、下辺ではなく左辺に石を向けることができます。黒もこれを嫌えば、黒1でbと上ツケするなどの手も考えられます。


このツケヒキ定石は、囲碁の序盤において非常に重要な役割を果たします。その後の展開を左右する可能性があり、様々な変化や応用があるため、しっかりと理解しておくことが重要です。

参考文献
高尾紳路『基本定石事典』日本棋院

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