ツーカーS

ツーカーSは、かつてKDDIのツーカーブランドで展開されていた第二世代携帯電話（PDC）端末です。製造型番はTK50で、京セラが開発・製造・発売を手がけました。

概要

この端末は、当時65歳以上の高齢者を主なターゲットとしており、携帯電話の多機能化とは一線を画した、徹底的なシンプルさが特徴です。アドレス帳機能、アプリケーションのダウンロード機能、カメラ、着信メロディ機能、Ezwebの利用、液晶ディスプレイ、Eメール、ブラウザなど、現代のスマートフォンには当たり前の機能が一切搭載されていません。まさに「無いもの尽くし」の音声通話専用端末と言えるでしょう。

電波状態やバッテリー残量はLEDランプで表示され、電源ボタンはスライド式を採用するなど、操作性も極限までシンプル化されています。ストレートタイプの端末ですが、キーロック機能はなく、通話ボタンを他のボタンよりも凹ませることで、誤発信を防ぐ工夫が施されています。通話ボタンを押してから電話番号を入力する方式です。

着信音は1種類のみで、マナーモードも搭載されていません。そのため、着信音が鳴ることが好ましくない状況では、電源を切る必要があります。そのシンプルさから、黒電話のように誰でも簡単に使える端末として宣伝され、「説明書がいらない携帯電話」とPRされました。実際に付属の説明書は大きな紙1枚のみでした。

販売価格は5000円以下と非常に安価で、発売当初から1年以上もの間、ツーカーで最も人気の高い端末となりました。この端末は、2004年度のグッドデザイン賞ユニバーサルデザイン賞を受賞しています。

他キャリアへの影響

ツーカーSの人気を受け、KDDI・沖縄セルラー電話連合のauブランドも、後に簡単ケータイS（A101K）を発売しました。これは、関東・東海・関西以外の地域で、同様のシンプルさを求める需要に応えたものです。auでは、2010年8月10日に簡単ケータイSの最新機種としてPT001を発売しましたが、この機種も2013年3月末をもって販売終了となっています。

競合他社では、NTTドコモがらくらくホンシンプル（D880SS）を発売しました。一方、ソフトバンクモバイルはこの種の端末を発売しませんでしたが、2010年4月に発売されたSoftBank 740N（コドモバイル）および741Nは、対象ユーザーは異なるものの、機能の少なさという点では共通しています。

また、エイビットがウィルコム向けに、固定電話のような外見と操作性を持つ音声PHS端末WX02A（イエデンワ）を供給し、高齢者への販売を伸ばしました。PHSのサービス終了に伴い、外見や操作性をほぼそのままに、SIMフリーの音声移動端末としてAK-010が発売されています。

歴史

2004年7月29日：電気通信端末機器審査協会（JATE）を通過（A04-0401001）。
2004年10月18日：ツーカーよりプレスリリース発表。
2004年11月19日頃：発売開始。

関連項目

簡単ケータイ
らくらくホン
コドモバイル
* イエデンワ

脚注

1] ケータイWatch, “ツーカー、液晶なしの通話専用端末「ツーカーS」”, 2004年10月18日. [https://k-tai.watch.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/21003.html
2] ケータイWatch, “ケータイ新製品SHOW CASE ツーカーS”, 2004年12月15日. [https://k-tai.watch.impress.co.jp/cda/article/showcase_top/21845.html

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