テレビの旅

テレビの旅

『テレビの旅』は、1953年2月11日から1960年7月19日までNHKテレビジョン、後にNHK総合テレビジョンで放送され、1959年1月20日から1985年3月12日まではNHK教育テレビジョンで放送された小学校5年生向けの学校放送番組（教科：社会科）です。

概要

ラジオ学校放送の『マイクの旅』のテレビ版として登場しました。小学校5年生の社会科では、地域密着型の学習から全国を対象とした資料活用型の学習へと移行します。この番組は、各学習単元に合わせた地域を取材し、その現状や課題、将来の展望をドキュメンタリー形式で紹介しました。

高度経済成長と社会の変化に伴い、年度をまたぐ再放送や映像の使い回しは少なく、ほぼ毎回新しい映像を制作して放送されました。

1981年度の放送日程

1981年度（昭和56年度）の放送日程を例として挙げます。これは、昭和55年施行の学習指導要領に基づき、NHKが提供する「NHKクロニクル」で公開されています。

各地の取材内容

稲作：東北地方や北陸地方の穀倉地帯を毎年取材。1982年には与那国島の早生水稲栽培、1984年には新潟県亀田郷の水田開墾史も紹介。減反政策や後継者不足、機械化による問題点も取り上げました。
青果・花卉栽培：減反政策に対応した各地の工夫を紹介。1970年代から夏野菜の促成栽培、1984年には愛知県渥美半島の電照菊、沖縄県の花卉輸送園芸を取材しました。
果樹栽培：甲府盆地のブドウ、津軽平野のリンゴ、福島盆地のナシなど、有名な産地を訪問しました。
畜産：北海道の酪農（十勝平野、別海町パイロットファームなど）が中心。1983年には鹿児島県の肉牛生産も紹介しました。
水産業：遠洋漁業、沿岸漁業、養殖の3部構成で、枕崎市、根室市、函館市などの漁港を取材。国連海洋法条約による排他的経済水域設定に伴う遠洋漁業の課題や、養殖業の赤潮被害や品質向上といった問題点を取り上げました。
工業：産業ロボット導入や高速道路網の発達に伴う工業団地の出現に注目。「工場が来た町」というテーマで、南東北や北関東を中心に取材しました。製鉄業では八幡製鐵所、自動車工業では各社の本拠地（日産[[自動車]]追浜工場、富士重工業群馬製作所、マツダ本社工場、トヨタ[[自動車]]本社工場）を訪問しました。
企業城下町：日鉱佐賀関製錬所、宇部興産伊佐セメント工場、新居浜市の住友グループ系列事業所などを紹介。軽工業では、鯖江市のメガネフレーム、堺市の自転車生産も取り上げました。
エネルギー：石油危機後の石油確保や省エネをテーマに、原子力発電の開発状況を取材。代替エネルギーとして石炭も紹介しました。
公害問題：水俣病、四日市喘息などの産業公害や、仙台市のような都市型公害を取り上げました。
伝統産業：全国各地の伝統産業を毎年3件紹介しました。
国土：当初は「～川を下る」と題して特定の水系を上流から河口まで紹介。1982年からは「空から見た日本」として空撮映像が中心になりました。
交通網：国鉄離れが進む中、鉄道網の話題は減少し、道路網の話題が増加。中国[[自動車道]]や大鳴門橋などを紹介しました。
環境保全運動：霞ヶ浦の水質回復、琵琶湖のアユ再生事業、天神崎のナショナルトラスト運動などを取り上げました。

放送時間

いずれも日本標準時。別の時間帯での再放送もありました。不定期番組時代には『ぼくらの実験室』などの番組と交互に放送されました。

出演者

関根信昭（1959年度） - 声のみの出演
劇団かかし座（1959年度）
佐藤喜徳郎（1964年度）
百田昌代（1981年度）
端田宏三（1983年度）
牟田悌三（1984年度）

テーマ曲

テレビの旅（作曲：間宮芳生）

脚注

テレビの旅 - NHK放送史
山の分校の記録（総集編） - NHK for School（動画の23分48秒より番組紹介）

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