ディネ

ディネ：北米先住民族の多様な姿

ディネ（Dene）は、カナダの北極圏やタイガ地域に居住する先住民族で、ナ・ディネ語族に属する言語を話します。この民族は、主に「北部アサバスカ諸語」を話すグループと、「南部アサバスカ諸語」を話すグループに大別されます。

言語と民族構成

ディネという名称は、広範囲な民族グループを指します。カナダの「北部アサバスカ諸語」を話すグループには、特に「ヘアー・インディアン」が含まれます。一方、アメリカにいる「南部アサバスカ諸語」を話すグループには、「ナバホ族」や「アパッチ族」が含まれます。

「ヘアー・インディアン」の言語は、ナ・ディネ語族の「北部アサバスカ諸語」に分類され、対照的にナバホ族とアパッチ族の言語は「南部アサバスカ諸語」に属します。

ヘアー・インディアン：狩猟民の生活

ヘアー・インディアンは、カナダ北西部の極北地域から南西部に居住する狩猟民です。彼らはアサバスカ諸語を話し、ファースト・ネーションとして自治共同体を形成しています。「ディネ」という言葉自体は、「流れと大地」を意味し、彼らの自然との深い繋がりを示しています。

文化人類学者の原ひろ子氏によって、ヘアー・インディアンに関する詳細な調査報告がなされています。

伝統文化と生活

ディネは、複数のバンド（集団）に分かれて生活しており、伝統的にティピーを使用して平原での狩猟を行ってきました。この地域では、ヘラジカなどの大型の獲物が少ないため、カンジキウサギ（ヘアー）を主食としています。冬季には慢性的な飢餓に苦しむことが多く、人肉食の記録も残っています。

エスキモーに似た風俗を持ち、「ヘア・インディアン・ドッグ」という独自の犬種を犬ぞりに使用していました。しかし、カナダ政府の同化政策により、伝統的な生活は失われつつあります。

支族：多様なディネ

ヘアー・インディアンは、5つの主要な氏族で構成されています。これらの氏族は、「チネ」「チンネ」「ティネ」という名前で呼ばれることもあり、これらはすべて「ディネ」の変形です。

チペワン族（ディネスリネ）: グレートスレーブ湖畔に居住。
トリチョ族（ドグリブ族）: グレートスレーブ湖とグレートベア湖の中間に居住。
イエローナイブス族（タツァオチネ族）: グレートスレーブ湖の北に居住。現在はチペワン族の傘下に入っています。
スレイビー族（デーガーゴチンネ、またはデーチョ族）: デーチョ川（マッケンジー川）からグレートスレーブ湖畔南西に居住。
サーツ族（サーツ・ティネ族）: グレートベア湖畔に居住。

アラスカとカナダのディネ

他にも、以下の様なディネの支族がいます。

ツー・ツィナ族（以前はサーシーと呼ばれていた）: カナダとアメリカに居住。
ダケル族（キャリアー・インディアン）: ブリティッシュ・コロンビアの先住民族。
チルゴチン族: ブリティッシュ・コロンビアの先住民族。
タールタン族（ナハンニ族）: ブリティッシュ・コロンビアの先住民族。
カスカ族（カスカ・ディナ族）: ブリティッシュ・コロンビアの先住民族。
グウィッチン族: アラスカとカナダ西海岸の先住民族。
タナナ族: アラスカとカナダ西海岸の先住民族。

アメリカのディネ

ナバホ族: アメリカ南西部に居住。
アパッチ族: アメリカ南西部に居住。

遺伝子

ディネには、アメリカ先住民に広く見られるハプログループQ（Y染色体）に加え、ハプログループC2（Y染色体）も高頻度（最大42%）で存在します。

関連項目

ディネに関連する項目として、以下のようなものがあります。

モニュメント・バレー
ナバホ語
カルロス・ナカイ
ウィンドウロック
ナバホ族評議員会
ナバホ族警察
ナバホ・ラグ
ホーガン
ディネ・カレッジ
ジャコビー・エルズベリー
ナバホ (ミサイル)
ナバホ (小惑星)
テーラー山 - 聖地とみなされる山
コードトーカー
ナ・デネ語族

外部リンク

Navajo.org
Dene Nation
Navajo Parks & Recreation
Navajo County
navajocentral.org
Discover Navajo
Navajo Hopi Observer
* navajotimes

ディネは、その多様な歴史と文化を持つ魅力的な先住民族です。彼らの言語、伝統、そして現代における課題を理解することは、北米の歴史をより深く理解する上で不可欠です。

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